第6話

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2026/06/22 08:00 更新





お昼休みも後20分。
4人と解散して私と葛葉だけが屋上に残った。


今からいきなり恋人同士と言われても
何をすればいいかなんてお互い分からず
雲一つない空を見上げながら転落防止の網に背中を預けた。


葛葉の方をちらり、と見れば
目が合い、恥ずかしそうに頭を搔きながら
隣まで来て同じように空を見上げた。

kzh
 ッスーー…、何する? 
あなた
 ふふ…、何しよっか 
kzh
 笑うなよ…、緊張してんだから 
あなた
 葛葉も緊張するんだ 
kzh
 …好きな奴の前だからな 

そう呟くと私の手を優しく握り
控えめに自分の方へと引き寄せてきた。

改めて"好きな奴"と言われるとドキドキする。

あなた
 自信しかないって言ってたのに? 
kzh
 言うなって 
あなた
 …相変わらず強がりだね 
kzh
 …うるさ 

手を繋いだまま、無言の時間が過ぎていく。

気まずくならずにいられるのは
私と葛葉の関係値によるものなのか。


それとも……

kzh
 …帰りさ 
あなた
 ん?うん 
kzh
 デートすっか 
あなた
 うん、しよっか
どこ行きたい?
kzh
 あなたの下の名前とならどこでもいいけど… 
なんか食いたいのとかある?
あなた
 あ、駅前のとこに
新しいクレープ屋さん出来たんだよ
あなた
 葛葉が前あれ何屋か分かんねぇって言ってた 
とこ
kzh
 あー…、確かに言ってたな 
kzh
 場所どこ? 

私はスマホを取り出して
クレープ屋さんをネットで調べた。

「 ここだよ 」そう言い葛葉の方にスマホを向けると
画面を覗き込むようにぐっと顔を近付けてきた。

あなた
 ( っ…、近… ) 
kzh
 え、ここ?服屋かと思った 
あなた
 そ、そう思うよね 
kzh
 ……… 

頬が熱くなるのが分かって
気付かれないように少しだけ俯いた。

kzh
 あなたの下の名前さ…… 
kzh
 すげぇいい匂いする 
あなた
 っ…! 

更に顔を近付けてきて、首元の髪に触れながら
「 なんの匂い? 」なんて言ってきて。

擽ったさに小さく声が出てしまい
慌てて葛葉の方に顔を向けた。

kzh
 ふはっ、顔真っ赤 
あなた
 っ…、ずるいよ、それは… 
kzh
 ん? 
あなた
 な、なんでもない…! 
あなた
 …葛葉の奢りでよろしく 
kzh
 え"っ、俺金欠なんだけど 
あなた
 彼女が食べたいって言ったら奢るの! 
いーい?
kzh
 ふはっ…、ん、おっけ 

何故か嬉しそうに笑いながら頭を撫でる葛葉が
凄くかっこよく見えて…、
痛いぐらい胸がドキドキとした。










P M 1 5 : 5 0 。


ホームルームも終わり部活のある子達が
慌ただしく出て行く中、万年帰宅部の私は
ゆっくりと帰りの支度をしていた。

ammy
 あなたの下の名前ちゃ、またねぇ 
あなた
 うん、また明日ね 
hskw
 え待って、今日ビジュの良さ増してない !?!? 
ammy
 あ、確かに〜!かわいい〜 
あなた
 そ、そうかな?
リップつけたからかな?
hskw
 えー、まじでかわいいー! 
デートでしょ?
あなた
 んふふ…、うん、そうなの 
hskw
 きゃー!いいなー!
星川もイケメンとデートしたーい
ammy
 あまみやも貢いでくれるイケメン欲しい〜 
hskw
 明日事情聴取だね!楽しんできなよー! 
ammy
 いっぱい仲良ししてね〜 
あなた
 あははっ、ありがと!明日ね 

親友2人と話し終わった私は
葛葉を迎えに行こうと席を立った。

kzh
 よぉ、お疲れ 
あなた
 わっ…!びっくりした… 
葛葉来てたんだ!
kzh
 んー、まぁ、こういうのって
彼氏が迎えに来んのが普通じゃね?
あなた
 …話聞いてた? 
kzh
 …いや?なんも? 
kzh
 "え待って、今日ビジュの良さ増してない !?" 
ってのは聞いたけど
あなた
 それ最初っからじゃん !!! 
kzh
 ふはっ、ごめんって
……すげぇ可愛いじゃん

褒め言葉とは対照的にこっちまで恥ずかしくなるぐらい
耳まで真っ赤にしている葛葉を見て笑みが溢れた。

あなた
 葛葉も…、かっこいいよ 
kzh
 っ、…そりゃどーも 

何とも気恥ずかしい空気が流れる中
葛葉が「 ん、 」とぶっきらぼうに手を差し出してきた。

そっと手を握ると少しだけ熱くなっていて
私以上にドキドキしてるのかな、とか考えてしまう。




まだ騒がしい教室を出て
私達は予定していたクレープ屋さんへと向かった。










クレープ屋さんは凄くお洒落な内装で
女の子心をくすぐりそうな雑貨がたくさん飾ってあった。

放課後というのもあり女の子達で食べに来たり
恋人同士で分け合って食べたりと中々混雑していた。

kzh
 すげぇ…、人気だな 
あなた
 ね!駅前だから皆寄りやすいのかもね 
kzh
 あなたの下の名前何食う? 
あなた
 んー…、ストロベリーシュガーか…
ストロベリーホイップスペシャルDXか
kzh
 なに?ストロ…DXホイップ…? 
あなた
 めっちゃストロベリー!て感じ 
kzh
 あー、それいいな 
あなた
 葛葉いちご系好きだもんね 
kzh
 ん。…さっきの1個ずつにすっか 

「 お待ちのお客様どうぞ 」、店員さんに呼ばれて
葛葉が注文とお会計を済ませてくれた。





天気が良かったから外に設置してある
パラソル型の席で食べることにした。

kzh
 ん、どっちがいい? 
あなた
 んー…、私ストロベリーシュガーにする 
kzh
 …んじゃこっちな 

渡されたのはいちごが山盛り乗った
ストロベリーホイップスペシャルDXだった。

あなた
 え、なんで… 
kzh
 こっち食いたかったんだろ? 
めっちゃ見てたし

確かにそうだった。

実はストロベリーシュガーは
前にサラとこころと来た時に食べていた。

ストロベリーDXも食べたいなって思ってたけど
葛葉の奢りだしいちご好きだし…と遠慮していた。

あなた
 ありがとう…、いいの? 
kzh
 …一口欲しい 
あなた
 ふふ…、はい、あーん 
kzh
 っ… 

あむ、と少し控えめにクレープを食べた。

と思ったら、机に突っ伏して動かなくなるから
心配になって声をかける。

あなた
 ちょ…、葛葉?大丈夫?お腹痛い? 
kzh
 ……いや、大丈夫、ではないけど 
腹痛てぇとかじゃない
あなた
 ならいいけど… 
kzh
 …恋人同士ってこんなことすんだな 
あなた
 ふふ、今更? 
kzh
 だって付き合ったことねぇし 
好きなのも…ずっとお前だけ

頬杖をつきながらこちらを見つめる葛葉は
からかってる訳でもなく、凄く真面目な表情で。

心臓がより早く鳴った。

今はまだ答えが出せないから
"ありがとう"しか伝えられないのがもどかしかった。









クレープを食べ終わった私達は
近くのショッピングモールの中にある雑貨屋に来ていた。

葛葉は私とならどこでもいいって言ってくれたけど
こんなに女の子向けの雑貨屋、楽しくないかな…

kzh
 なにこれ 
あなた
 あ、これ最近流行ってるキャラクター 
kzh
 マジ?目バカでか 
あなた
 それが可愛いんだって  
kzh
 あなたの下の名前は好きなのか? 
あなた
 んー…、私はこっちの子の方が好きかな 
あなた
 スマホについてるのもこの子 
kzh
 へぇー 
あなた
 聞いたくせに興味なさすぎ  
kzh
 女の趣味は分かんねぇなー 

そんなこんなで放課後デートも終わりが近付いてきた。

雑貨屋を出て帰り道を歩いて行く。

あなた
 今日はありがとね 
kzh
 …まだ終わってねぇだろ 
あなた
 え? 
kzh
 叶が、寝るまでは恋人同士っつってただろ 
あなた
 あはは、そうだった 
夜電話する?
kzh
 ん…、あなたの下の名前が良いなら 
あなた
 うん、わかった 

話の途中でごく自然に繋がれた手は
少しだけ熱くて、力が入っていた。


…まだ離れたくないのかな。


ついそんなことを考えてしまう。

kzh
 明日誰だっけ 
あなた
 えっと…、叶かな 
kzh
 あ"ーー…… 
あなた
 なに?  
kzh
 別に? 
あなた
 絶対別にじゃないでしょ 
kzh
 …今日楽しかったか? 
あなた
 うん、すごく。クレープも美味しかった 
kzh
 そっか…、よかった 

横顔しか見えないけど
何だか安心したような表情を浮かべていた。









あなた
 ありがと、ここでいいよ 
kzh
 …あなたの下の名前、手出せ 

「 なに? 」、そう言い素直に手を出すと
さっき雑貨屋で見てたキーホルダーが。

あなた
 え、くれるの? 
kzh
 ん。お揃い 

ポケットから同じキーホルダーが出てきた。


あんなに興味なさそうにしてたのに。
ちゃんと覚えててくれるの、本当葛葉らしい。

あなた
 ふふ…、嬉しい、ありがと 

スクールバッグにつけて「 じゃーん 」と見せると
もの凄く嬉しそうな顔で頭を撫でられた。

あなた
 じゃ…、また明日ね 
kzh
 …また明日な 

名残惜しくも手を離し葛葉に背を向けた。

kzh
 あなたの下の名前っ、 
あなた
 ん?…わっ…! 

強く手を引かれ気付けば葛葉の腕の中にいた。

あなた
 葛葉…? 
kzh
 行かせたくねぇ…… 

小さな声で発せられたのは
いつもの強気な葛葉とは違い弱々しい言葉だった。

それが本音だと実感したのは
背中に回された手にぐっと力が入ったから。


何も言わず数秒程抱き合った後
葛葉はそっと体を離し「 わりぃ 」と謝ってきた。

あなた
 なんで謝るの? 
kzh
 だっせぇだろ、俺… 
あなた
 ダサくないよ
葛葉はいつもかっこいいじゃん
あなた
 前に他校の男子に絡まれた時助けてくれたの 
めちゃくちゃかっこよかったよ
kzh
 ふはっ…、その時と今とじゃ全然違ぇよ 
あなた
 葛葉は葛葉でしょ?
その時も今も関係ないよ、かっこいい
kzh
 …ありがとな 

私の顔を見て優しく微笑むと
もう一度強く抱き締めてきた。

「 家まで近ぇけど気をつけて帰れよ 」
雑に頭を撫でた後、今度は葛葉が私に背を向けた。









家に帰りご飯を食べて、お風呂に入った。

あの後葛葉から"21時頃電話する"とラインがきたから
それまでに色々終わらせてきた。




〜♪



ラインの着信音が鳴り響く。

あなた
 もしもし?葛葉? 
kzh
 んー、お疲れ 
あなた
 お疲れ様、今日はありがとね 
ちゃんと帰れた?
kzh
 んー、帰れた… 

声が凄く眠そうで。
葛葉は眠くなると「 んー 」が多くなるから
すぐに分かった。

あなた
 眠い? 
kzh
 いや?……眠くない 
あなた
 めちゃくちゃ眠そうな声だよ  
kzh
 あなたの下の名前さぁ… 
あなた
 ん? 
kzh
 俺のこと好き? 
あなた
 え、な、なに、急に 
kzh
 んー?なんとなく…聞きたく、て 
あなた
 好きだよ
今はまだ…友達として、だけど
kzh
 ん、…俺も好き 
kzh
 両想い、…だな… 

その言葉を最後に電話口からは寝息が聞こえてきた。

あなた
 ふふ…、緊張が解けたのかな 
あなた
 おやすみ、葛葉
今日は楽しかったよ

すぐに切るのは何だか申し訳なくて
10分程経ってから電話を切った。





明日は…、叶かぁ。

叶と恋人になったらどんな感じなのかな…






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