お昼休みも後20分。
4人と解散して私と葛葉だけが屋上に残った。
今からいきなり恋人同士と言われても
何をすればいいかなんてお互い分からず
雲一つない空を見上げながら転落防止の網に背中を預けた。
葛葉の方をちらり、と見れば
目が合い、恥ずかしそうに頭を搔きながら
隣まで来て同じように空を見上げた。
そう呟くと私の手を優しく握り
控えめに自分の方へと引き寄せてきた。
改めて"好きな奴"と言われるとドキドキする。
手を繋いだまま、無言の時間が過ぎていく。
気まずくならずにいられるのは
私と葛葉の関係値によるものなのか。
それとも……
私はスマホを取り出して
クレープ屋さんをネットで調べた。
「 ここだよ 」そう言い葛葉の方にスマホを向けると
画面を覗き込むようにぐっと顔を近付けてきた。
頬が熱くなるのが分かって
気付かれないように少しだけ俯いた。
更に顔を近付けてきて、首元の髪に触れながら
「 なんの匂い? 」なんて言ってきて。
擽ったさに小さく声が出てしまい
慌てて葛葉の方に顔を向けた。
何故か嬉しそうに笑いながら頭を撫でる葛葉が
凄くかっこよく見えて…、
痛いぐらい胸がドキドキとした。
P M 1 5 : 5 0 。
ホームルームも終わり部活のある子達が
慌ただしく出て行く中、万年帰宅部の私は
ゆっくりと帰りの支度をしていた。
親友2人と話し終わった私は
葛葉を迎えに行こうと席を立った。
褒め言葉とは対照的にこっちまで恥ずかしくなるぐらい
耳まで真っ赤にしている葛葉を見て笑みが溢れた。
何とも気恥ずかしい空気が流れる中
葛葉が「 ん、 」とぶっきらぼうに手を差し出してきた。
そっと手を握ると少しだけ熱くなっていて
私以上にドキドキしてるのかな、とか考えてしまう。
まだ騒がしい教室を出て
私達は予定していたクレープ屋さんへと向かった。
クレープ屋さんは凄くお洒落な内装で
女の子心をくすぐりそうな雑貨がたくさん飾ってあった。
放課後というのもあり女の子達で食べに来たり
恋人同士で分け合って食べたりと中々混雑していた。
「 お待ちのお客様どうぞ 」、店員さんに呼ばれて
葛葉が注文とお会計を済ませてくれた。
天気が良かったから外に設置してある
パラソル型の席で食べることにした。
渡されたのはいちごが山盛り乗った
ストロベリーホイップスペシャルDXだった。
確かにそうだった。
実はストロベリーシュガーは
前にサラとこころと来た時に食べていた。
ストロベリーDXも食べたいなって思ってたけど
葛葉の奢りだしいちご好きだし…と遠慮していた。
あむ、と少し控えめにクレープを食べた。
と思ったら、机に突っ伏して動かなくなるから
心配になって声をかける。
頬杖をつきながらこちらを見つめる葛葉は
からかってる訳でもなく、凄く真面目な表情で。
心臓がより早く鳴った。
今はまだ答えが出せないから
"ありがとう"しか伝えられないのがもどかしかった。
クレープを食べ終わった私達は
近くのショッピングモールの中にある雑貨屋に来ていた。
葛葉は私とならどこでもいいって言ってくれたけど
こんなに女の子向けの雑貨屋、楽しくないかな…
そんなこんなで放課後デートも終わりが近付いてきた。
雑貨屋を出て帰り道を歩いて行く。
話の途中でごく自然に繋がれた手は
少しだけ熱くて、力が入っていた。
…まだ離れたくないのかな。
ついそんなことを考えてしまう。
横顔しか見えないけど
何だか安心したような表情を浮かべていた。
「 なに? 」、そう言い素直に手を出すと
さっき雑貨屋で見てたキーホルダーが。
ポケットから同じキーホルダーが出てきた。
あんなに興味なさそうにしてたのに。
ちゃんと覚えててくれるの、本当葛葉らしい。
スクールバッグにつけて「 じゃーん 」と見せると
もの凄く嬉しそうな顔で頭を撫でられた。
名残惜しくも手を離し葛葉に背を向けた。
強く手を引かれ気付けば葛葉の腕の中にいた。
小さな声で発せられたのは
いつもの強気な葛葉とは違い弱々しい言葉だった。
それが本音だと実感したのは
背中に回された手にぐっと力が入ったから。
何も言わず数秒程抱き合った後
葛葉はそっと体を離し「 わりぃ 」と謝ってきた。
私の顔を見て優しく微笑むと
もう一度強く抱き締めてきた。
「 家まで近ぇけど気をつけて帰れよ 」
雑に頭を撫でた後、今度は葛葉が私に背を向けた。
家に帰りご飯を食べて、お風呂に入った。
あの後葛葉から"21時頃電話する"とラインがきたから
それまでに色々終わらせてきた。
〜♪
ラインの着信音が鳴り響く。
声が凄く眠そうで。
葛葉は眠くなると「 んー 」が多くなるから
すぐに分かった。
その言葉を最後に電話口からは寝息が聞こえてきた。
すぐに切るのは何だか申し訳なくて
10分程経ってから電話を切った。
明日は…、叶かぁ。
叶と恋人になったらどんな感じなのかな…
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![[kne]嫌われライバー余命半年なんだって](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/jntB1YGZ0HWBnTe4pUbfldh1vV03/cover/01M059FN817GGPCHS9JXS3Y5MX_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。