第33話

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2024/06/30 08:00
【side You】
寂しかった。
みんな、寝ぼけて莉犬のお布団の中に入った、
なんて言ってるけど
寝ぼけてなんかない。
本当はすごくすごく寂しかったの。
だって、
もうすぐ私、出ていかなきゃ行けなくなるから。
昨日の夜、
上司から電話があった。
なんとも急に決まったことらしく、
すぐにでも、伝えなければいけなかったらしい。
あなた
もしもし、あなたの下の名前ですー。お電話されてましたよね?どうされました?
上司
あー、あなたの下の名前。その…あの……
あなた
ん?どうしたんですか。
はっきり言ってもらわないと困ります。
上司
あなたの下の名前…ごめんな。
お前には大事な弟が居て、離れたくはないだろうが…
あなた
……はい。
上司
お前の異動が決まった。
1ヶ月後、四国エリアでの勤務をするよう言われた。
……言っている意味が分からなかった。
私は異動に関しては、拒否をしていた。
大事な弟がいるから。
弟から絶対に離れないと約束しているから
関東エリア固定で減給までされたのに、
それなのに……異動が決まった…?
ふざけないでよっ…
あなた
あの、拒否したいのですが。
上司
俺からも言った。
けど、決めたのは社長直々だそうだ。
上司
……すまない…あなたの下の名前。
申し訳なさそうに私の名前を呟く上司に
私は何も言えなくなった。
社長直々…だもんね。
Rinu
姉貴、入るよ
まずい…
莉犬に聞かれたら大変なことになる…
とりあえず、電話切らなきゃ……
あなた
……わかりました。失礼します。
ごめんね、莉犬。









約束、守れないや。






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