数週間が経った。
深澤と付き合って、佐久間の毎日は少しずつ変わっていた。
どんなに疲れていても、深澤の声を聞けば安心できる。
眠れない夜は、深澤が「電話しよ」って言ってくれて、他愛もない話をして眠りにつける。
深澤の隣にいる心地よさは、阿部といるときとは違う。
安心とか、ぬくもりとか、そういう言葉じゃ足りないほど、柔らかいものだった。
だけど
時折、不意に胸がちくりとする。
ふとした瞬間に、阿部と目黒が楽しそうにしているのを見ると、
ほんの少しだけ、
置いていかれたような気持ちになる。
ある日。
仕事終わりにふっかと飲みに行った帰り道。
夜風がひんやりしていて、気持ちよかった。
深澤がふっと笑って、当たり前みたいに手を繋いでくる。
それだけで胸がぎゅっとなった。
ふっかの足が一瞬止まる。
でもすぐに、握った手に力をこめてきた。
佐久間の視界が滲んだ。
嬉しくて、切なくて、どうしようもなく泣きたくなった。
立ち止まった佐久間を、深澤がそのまま抱き寄せた。
夜道で、車の音が遠くに響く中、ただ二人で寄り添う。
それから数日後。
楽屋で阿部と目黒が隣で話しているのを見て、佐久間の胸はまた少し痛んだ。
でも、その瞬間、頭をぽんと叩く手があった。
小さな声で、佐久間は
と答える。
まだ完全に痛みが消えたわけじゃない。
だけど、その痛みを抱えながらでも、幸せになれるんだと思えた。
隣にいてくれる深澤と一緒なら。
__𝐹𝑖𝑛.











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!