第15話

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2025/08/28 03:00 更新
深澤は一瞬驚いたように目を見開いた。
深澤
......ふざけんなよ

低く、でもはっきりとした声。
深澤
なんで勝手に決めんだよ
深澤
俺が辛いかどうかは、俺が決めることだろ?

深澤は佐久間の肩を強く掴む。
深澤
俺が隣にいたいって思ってるんだ
深澤
だから別れるなんて絶対に嫌だ

佐久間の目から、涙が零れ落ちた。
佐久間
でも……っ
深澤
うん、それでいいから

深澤はぎゅっと佐久間を抱きしめる。
深澤
俺は佐久間の全部受けとめて隣にいたい
深澤
だから絶対離さない
深澤
……隣にいるから
深澤
別れるなんて、二度と言うな

その言葉に、胸の奥が熱くなり、堪えていたものが溢れ出した。
佐久間
ごめん、ごめん……俺なんかで……
深澤
“なんか”じゃない

深澤が呟き、佐久間の背中を強く撫でる。


そして


涙で濡れた頬を片手で包み、ふっと顔を覗き込んだ。
深澤
佐久間の泣き顔、俺しか知らなくていい

佐久間の心臓が跳ねた。


次の瞬間、唇を奪われた。
佐久間
んっ!?

触れるだけじゃない。


吐息が絡むほど深く、迷いもなく。

涙の味が混じる。


苦しいくらい近くて、でも温かくて。

佐久間は驚いて抵抗しようとしたが、深澤の腕に締めつけられて逃げられない。


涙の味と、熱い息と、触れる舌先に全身が痺れる。
佐久間
……ふっか……っ

声が漏れた瞬間、さらに深く塞がれる。

息ができないくらい長く、強く、何度も。


濡れた唇を離したあとも、深澤は佐久間の頬を撫でながら、喉や耳に唇を滑らせた。
深澤
泣き顔、俺以外に見せんなよ?
佐久間
ごめん……俺……

涙と熱に溺れて言葉にならない。

深澤は佐久間の手を絡め取って、強く握った。
深澤
謝るな……隣にいて
深澤
それでいいから

もう一度、深く長い口づけ。


佐久間は涙の中で笑った。
佐久間
……ずるいよ、ふっか
深澤
ずるいくらいでちょうどいいんだよ

佐久間はその腕の中で、初めて心から安堵した。


隣にいる理由が、こんなにも確かだと知ったから。

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