康二side
昔の仲間に貰ったカメラを片手に今日も散歩
平穏な暮らしに慣れることなんてなくて、あんなにも望んでいた生活なのに心はどこかストレスを感じるばかりやった
よく分からん葛藤を無くすべく今住んでる場所を飛び出して色んな場所へ歩き回る
今日はちょっと遠出して街の中心へ
大きな建物が増えてきて人の数も次第と多くなる
街は色々な物やったり人がおった
食べ物やったり家具やったり様々。
肩を組んで歩いてる兄ちゃん達、スマホ片手に話してる学生の子たち、仕事なんやろかビシッと決めてる人、そして手を繋いで歩いてる親子
俺らも普通やったらこういう暮らししてたんやなってボーッと考える
そんな時、とある洋服に目がいった
この服を着てこの街を歩いてる自分が簡単に想像出来たことが何よりも驚いた。
軍服に身を包み、がむしゃらに戦ったあの頃とは違う今
背中に背負ってる十字架が俺をさらに追い詰めた
お洒落を楽しんでカフェとやらでひとつきついてみんなとは違う誰かと友達になって知らない誰かと結ばれる
こんな形も悪くないと思う
けど、俺は
俺はみんなと過ごしたあの日々が好きやった大好きやった
もし、このまま平和に過ごしてたら死んでいってこの世に無理やり残ってる仲間たちにも、みんなとすごした時間も全部否定されてる気がしてしんどい
怒られるやんな?
やっと望んだ生活が手に入ったって言うんに
ごめんな。ごめんなしょっぴー。
そう思ってたんやけど、しょっぴーから出た言葉は
そういつもの優しい笑顔で言ってくれた
そうして俺ら2人はとりあえず家に戻ってみんなと話しをすることにした
反対される覚悟を持って
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!