第23話

気になる幼なじみ
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2023/03/25 08:47 更新
あなた
良いですね、それ!
LIP×LIPも確実に影響されますよ!
でも、と私は続ける。
あなた
私達も行って良いんですか?
LIP×LIPならこれも勉強の一つなのだろうが、私達が行ったら普通にライブを楽しんで終わることになりそう…。
田村社長
もちろんよ。
FT4のライブを作ってるのはFT4だけじゃない。スタッフや、プロデューサー、マネージャーだって関わっている。
あなた
裏方の働きにも、注目してライブを楽しめと…
田村社長
そういうこと
ぱち、とウインクをキメてチケットを机の上へおいた。
そしてLIP×LIPへ視線を戻す。
すると愛蔵が、その骨ばった綺麗な手をチケットへと伸ばした。
ニヤッと笑って口を開く。
柴崎愛蔵
見てやろうじゃねぇか。
FT4がどれほどのモンなのか
染谷勇次郎
彼らのステージ、この目でじっくりと拝見させていただきます!
こういうとき、私は彼らをアイドルだなと思う。
そして、そのアイドルを高めていく姿に、やっぱり彼らを応援したくなる何かが胸中を渦巻くのだ。
田村社長
ひよりちゃんも、行ってらっしゃい
先程から黙ったままのひよりに、社長は視線を向けて微笑んだ。
涼海ひより
ありがとうございます。
でもうち、もうそのライブ行くことになってて……
柴崎愛蔵
なんでお前がチケットを持ってんだよ
染谷勇次郎
ファンクラブにでも入ってんの?
怪訝な顔をする二人に、私はにまっと笑う。
あなた
嫉妬?
染谷勇次郎
なわけ無いでしょ
柴崎愛蔵
ふざけるなよな
あなた
えぇー。あーやし…
愛蔵に頭をチョップされ私は渋々黙った。
そんなやり取りに少し苦笑しながらひよりは続きを話す。
涼海ひより
うちじゃなくて、うちの幼馴染がね
LIP×LIP
幼馴染?
二人の声が揃う。
ひよりが続けた。
涼海ひより
渚って言うんだけど、子供の時から家がご近所さんで
ご近所さん!?!?
なに、え、言い方めちゃくちゃ可愛くない?
こんな女子高校生いる?いるか、眼の前に……
柴崎愛蔵
霜花お前サイレントにうるさい
染谷勇次郎
行動がうるさい
あなた
酷い!!
可愛さに悶え苦しんでいた私にピシャリと二人は言い放った。
ひよりがまたもや苦笑交じりに続ける。
涼海ひより
その、渚って子がFT4の大ファンで、そのライブを見に東京に来るんだって!
柴崎愛蔵
それだけのためにわざわざ?
不思議そうに尋ねた愛蔵に、ひよりはうん!と返す。
田村社長
熱狂的なファンが多いから、さすがだわ
ニコリと笑ってひよりに微笑んだ田村社長に、二人は少し顔をしかめた。
涼海ひより
渚がうちの分のチケット取ってくれて
田村社長
そう。なら、みんなで行ってきたら?
たまにはひよりちゃんもおしゃれして、楽しんでらっしゃいな
田村社長の最後の一言に、ひよりは間の抜けた声を出す。
涼海ひより
おしゃれ?
ライブって、おしゃれして行かなきゃいけないんですか?
田村社長
そういうわけじゃないけど…。
おしゃれする子は多いと思うわよ
あなた
それもFT4って、あの「超イケメンの集まり!!」みたいなグループですよね?
女の子たち絶対痛バとか作って可愛い格好して来ますよ!
柴崎愛蔵
お前俺らのことは知らなかったのにFT4のことは知ってんのかよ…
染谷勇次郎
なんかムカつくんだけど…
二人の鋭い視線に私は目を背けた。

「まぁ、ね、うん、まぁ、そういう時期というか」

なんてぎこちない返事を返してからひよりに向き合う。
あなた
LIP×LIPのライブもそうでしょ?
皆勝負服で来てるじゃん!
涼海ひより
へー……
なんとも興味のなさそうな返事を返された。
そんなひよりに愛蔵は訝しげに尋ねる。
柴崎愛蔵
お前ライブにどんな格好で行くんだ…?
染谷勇次郎
まさか、そんな格好で行くつもりじゃないよね…?
続いて勇次郎が顔をしかめながらひよりの姿を見て口を開く。
涼海ひより
え?えっと…これじゃだめ?
自分の服をちらりと見てから不思議そうに尋ねたひよりに、愛蔵は真顔で返した。
柴崎愛蔵
それでいいと思っているところがやばい
涼海ひより
うぇ…っ
その気迫に押されてひよりが一歩後ろに下がった。
染谷勇次郎
女子として終わってる
涼海ひより
ひぇ…っ
勇次郎の真面目なトーンにまたもや一歩後進。
あなた
ま、まぁまぁふたりとも!
間に割って私はニコリと笑った。
あなた
ここは私に任せてよっ!
私の服から当日ひよりをハイパー美少女にしてあげるっ☆
染谷勇次郎
……それなら、まぁ
柴崎愛蔵
げっっっ
渋々といったふうにうなずいた勇次郎とほぼ同時に、愛蔵は顔を顰めた。
あなた
なにが「げっっっ」なの?
なにか文句でも?
柴崎愛蔵
お前自分のクローゼットの中見たことあるかよ
あなた
は?だって私のクローゼットだよ?
見たことあるに決まってんじゃん!
柴崎愛蔵
それでその判断だとしたら俺はお前を心の底から軽蔑するぞ
あなた
そんなに言う!?
柴崎愛蔵
正直霜花の服を涼海に着せるくらいならまだそのままの方がマシだ……
すると勇次郎も、うっ、という顔で私達を見つめる。
染谷勇次郎
それは相当だね...
あなた
君達それ私にもひよりにも失礼だからね!?
涼海ひより
ま、まぁまぁ
腰に手を当て2人を睨みつける私に、ひよりは苦笑しながら声をかけた。
そして少し微笑む。
涼海ひより
うちは別に...
オシャレとかあんまりよくわからんから、まだいいかな...
柴崎愛蔵
女子高校生のセリフ...だよな...?
染谷勇次郎
一応...
2人で肩を寄せ合い話し合う様子に田村社長はクスリと笑った。
田村社長
ひよりちゃんがいいならいいけど...
気になるなら少しLIP×LIPの2人に聞くのがいいかもね
あなた
社長私は!?!?
田村社長
ふふ
あなた
社長!?!?
笑顔でスルーですか...!?
柴崎愛蔵
社長、懸命な判断です...
うんうんと頷く愛蔵の頭を、チョップしてその場は終わりとなった。
あなた
でもひより、本当にオシャレとか興味ないの?
玄関先で靴を履きながら、私はひよりに尋ねた。
涼海ひより
ないよー。そんなの
あなた
まぁ、人それぞれだけどさ...
いって私もそこまでだし...
涼海ひより
でも霜花ちゃんは可愛いから、なんでも似合うと思うよ!
ぐっ、と胸の前で拳を作り懸命な瞳で言うひよりに私はでへへと満更でもない笑顔を浮かべる。
あなた
やだなぁひよりったら...
やっぱりそう思う?
染谷勇次郎
自惚れんな
そう言い私の頬を軽くつねる勇次郎に、愛蔵はふっ、と笑った。
柴崎愛蔵
お前はクラスで1番可愛い女子は誰だ問題に名前が上がるレベルの可愛さだ
あなた
絶妙な上に分かりづらい!!
もっとわかりやすい例えあったよね!?
というか酷い!!
あなた
2人とも酷いよ!!
染谷勇次郎
酷い?僕は事実を伝えただけだけど?
柴崎愛蔵
お前が現実に傷つく前に、優しく教えてやったんだよ
あなた
優しくはなかった...ッッ
せめてもの抵抗をと私は叫ぶ。
と、ひよりが腰に手を当てプンプン怒り出した。
涼海ひより
ちょっと2人とも!
言い過ぎやないの!?
霜花ちゃん可愛いやん!クラス1どころやない、学年1...
ううん、学校1やろ!
あなた
ひよりお母さん...!!
染谷勇次郎
ごめんなさい、涼海お母さん...
柴崎愛蔵
悪かったよ、涼海お母さん...
涼海ひより
だから誰がお母さんやっ!!
ひよりは一見、その小柄さとくりっとした大きな瞳から妹系だと思われるかもしれないがそれは大間違い。
たくさんの妹弟がいる立派なお姉ちゃんなのだ。
あなた
さすがお姉ちゃんだよね、包容力が違うもん
ドアを開け夜道を歩きながら私達は話す。
涼海ひより
そんなこと...あるのかな...
あなた
あるよぉ...!
柴崎愛蔵
そういやお前は一応兄貴なんだよな...?
染谷勇次郎
僕?そうだけど...
ひより&霜花
えっっっ
露骨な反応を見せる私たちを勇次郎はギロリと睨む。
染谷勇次郎
なにか問題でも?
あなた
イエナニモアリマセン
涼海ひより
スゴイダロウナトオモイマシタ
染谷勇次郎
だよね!
爽やかな笑顔でそう言った勇次郎に私達も笑顔で固まる。
あなた
これ余計なこと言ったら殺されるヤツ...?
涼海ひより
うち前殺されかけた...
染谷勇次郎
そこ何かー?
ひより&霜花
なんでもありませんんん!!!
柴崎愛蔵
いやまぁ別に問題があるって訳じゃないんだけど...
なんかお前どっちかと言うと弟系じゃないかなって...
あなた
それわかる
涼海ひより
待って待って、染谷くん弟さんおるん?
染谷勇次郎
うん
柴崎愛蔵
母上と、父上と、弟君だよね
あなた
その呼び方何
柴崎愛蔵
いやなんかさ...
勇次郎の家族ってこう、オーラが凄いって言うか...
染谷勇次郎
は?
あなた
あー...
うん、言わんとすることは分かる...
柴崎愛蔵
なんていうかこう...気品溢れる?
あなた
そうそう、気品、気品がすごい...
涼海ひより
気品がすごいとか人生であんま使わん単語やな...
染谷勇次郎
はぁ...
柴崎愛蔵
まず母上は、こう、めちゃくちゃお上品って感じの人で、父上は人間国宝だろ?
弟君はなんていうかこう...
涼海ひより
あぁそっか、柴崎くんは会ったことあるんやね
あなた
私も両親は会ったことあるけど弟くんは会ったことないなぁ
柴崎愛蔵
なんか...
染谷勇次郎
なんだよ
柴崎愛蔵
女子っぽいって言うか...なんだろこう、女王様感が凄いって言うか...ッッ
ひより&霜花
女王様感...
そう呟きながら私は、勇次郎似の男の子の、玉座に座りながら足を組む姿を思い浮かべた。
「私に忠誠を誓うのならば、この手にキスしなさい」
そんなことを言いながら手を伸ばしてくるところまで想像して、勇次郎に白い目で見られる。
染谷勇次郎
何人の弟で想像してんの
あなた
エッッッ
別にいかがわしいことを想像していたわけではないのだが、勇次郎の視線が冷たすぎて酷く動揺してしまった。
しどろもどろになりながら説明する。
あなた
あーっっ、と、だから、勇次郎…じゃなくて染谷の弟くんが、王座に座りながら足を組んで…
染谷勇次郎
は?何言ってんの?
意味不明。
とでも言いたげに首を傾げた勇次郎。
愛蔵は隣で静かに頷いた。
柴崎愛蔵
わかる、分かるぞ霜花。
こればかりはお前に共感する
あなた
だよね!?分かってくれるよね!?
染谷勇次郎
柴崎兄妹は揃いも揃って…
腰に手を当てため息を着く勇次郎。
涼海ひより
なんか気になるな、染谷君の家族
柴崎愛蔵
家、すっげぇデカイぞ
あなた
豪邸!……ってより、お屋敷か
涼海ひより
えぇー!気になるなぁ…
柴崎愛蔵
今度遊びに行くかー
あなた
お泊まり会したい!
染谷勇次郎
えっっっ、このメンツで…?
柴崎愛蔵
いいんじゃねぇか?
お前ん家広いし、霜花と涼海は女じゃねぇし
あなた
流れるように私たちの性別を否定するね?
涼海ひより
うちは女!
うんうんと頷く愛蔵に掴みかかる私達を見ながら、勇次郎は固まっている。
染谷勇次郎
僕まだ良いって言ってないんだけど…
柴崎愛蔵
近いうちに行こーぜ!
こういうのって時間経つと自然消滅するし
あなた
お泊まり会とか幼稚園以来だよ…!
涼海ひより
霜花ちゃんとお泊まり会…!
沢山お話しよーね!
染谷勇次郎
あのさ、3人とも…
愛蔵&霜花&ひより
楽しみだなぁ、お泊まり会!
染谷勇次郎
もう…っっ、話聞けよ!!
夜道に響く勇次郎の声を聞きながら、私達は笑い会うのだった。

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