ついになってしまった。呪術師に。
いや、あの事件が起こってから呪いと関わりのない生活は送れないだろうとおもっていたけども。
何を隠そう、今日は私の記念すべき初任務なのだ。
ただ、初対面の奴と、とという条件付きで。
ご存知の通り、呪術界は万年人手不足で悩んでいる。
私は本来高専で正式に転校の手続きを終えてから任務に向かうはずだったが、急遽任務が入ってしまったのだ。
まあ、今が暇な時期ではないことは知っているし、仕方がないかと諦めはついている。
それは別にしても、ここに来るのは同級生だと言うので、少しワクワクしながらここへ来た。
しかし、かれこれ2時間待っている。
もう帰ってやろうか。と思っていると、
それっぽい人影を2人見つけた。
全身黒ずくめなので、間違いないだろう。
しかし、改めて見るとやっぱ不審者だなぁ、とつくづく思う。
私も周りにあんな感じで映ってるんじゃないかと不安になるが、無視を決め込んだ。
しかも、片方は白髪のようだ。呪術師は個性豊かだと聞いていたが、もはや豊かの域ではないだろう。
なんて思っていると、すぐ近くまで来ていた。
近くで見ると2人ともとても大きかった。
というか、めちゃくちゃガラが悪い。タバコを吸って、無免許でバイクを乗り回す様子が容易く想像出来る。
二人の圧に押されながらも、舐められるまいと元気よく挨拶する。
私の渾身の挨拶は耳に入らなかったのか。
サングラスをかけた方の男が私今日のり弁食べたっけと不安になるほど見つめてくる。
ほんとに不安になるからやめて欲しい。
そんな私の不安をよそに男は口を開く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!