カオスな部活勧誘の後、
俺はあっきぃとまぜの誘いを
どうにか断り、一人で下校していた。
あいにく天気は予報ハズレの雨。
俺は駅までの道を小走りで急ぐ。
フードを被って下を向いて
走っていたその時。
濡れた路面で足が滑り、
俺は派手に転んでしまった。
膝をすりむき、
カバンの中身が地面に散らばる。
雨に打たれながら
慌てて荷物を拾い集める。
するといきなり、
視界に黒い傘が差し込まれた。
頭上から聞こえたのは少し低めの声。
顔をあげるとそこには
マスクをした男子生徒が立っていた。
その男子生徒は汚れた俺の手帳を
丁寧に拭き取ってから
差し出してくれた。
その時、男子生徒の指先が
俺の手に不自然なほど長く触れる。
俺は一瞬、ゾクッとした寒気を感じた。
雨のせいではない。
この少年の瞳が異常に熱っぽく
自分を見つめていたからだ。
その痛すぎる視線と、
甘すぎる声に
俺は咄嗟に断ってしまう。
俺はひったくるように
手帳を受け取ると、
逃げるように走り去った。
彼のもう片方の手には、
あっとが転んだ拍子に落とした、
小さなキーホルダーが握られていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。