学校の帰り道、いつものように肩を並べて帰る。
風磨が今月何回目かの告白をされた話を聞きながら。
口では呆れながらもほっとした。
…良かった、告白、断ってくれて。
幼なじみの立場を利用して隣にいるだけの自分。
いつか私以外になるんじゃないかと風磨が告白されるたび、不安になる。
想いを伝えようにもこの関係性が崩れそうで怖い。
そんなことを考えていると、
急に私の顔を覗き込んで言ってきた。
突然顔を近づけ言われ、心当たりがなくて困っていると、めずらしく風磨が喋りづらそうに
口を尖らせて聞いてきた。
正直、風磨が色んな女の子から夏祭りに誘われているのをみて、気が気じゃなかったし、𓏸𓏸くんには申し訳ないが「他の友達と行く予定があるから」と嘘をついて断っていた。
それもあって私が適当に答えたように聞こえたのか、
ちょっと声を低くして言ってきたから私は風磨が怒ってしまったとおもって、
すると私の言葉を遮るように
風磨の様子に胸がざわついた。怒っているようでもあり、拗ねているようでもあり、そして何より…悲しそうに見えた。
そんな風磨を見ていられず、前を向いてどんどん歩いていく風磨の服の袖を掴んだ。
風磨は立ち止まり、こちらには向かずに小さな声で
私は風磨がなんて言ったか聞こえなくて
そう言うと私が持っていた服の袖の手をのけ、私の方を向いていつもの余裕ぶった風磨とはかけ離れた余裕のない表情で、
風磨の言葉に、佳恋の心臓が大きく跳ねた。
だって、それは…
風磨は、意を決したように佳恋の目をまっすぐに見つめた。
沈黙が二人の間に流れる。風磨の心臓の音まで聞こえそうなほど、静まり返った帰り道。
あなたの下の名前の目からは、とめどなく涙が溢れてきた。今までずっと心の中で秘めてきた想い、不安、そして何よりも風磨への気持ち。それらが、一気に溢れ出した。
今度は風磨が驚く番だった。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠すように、佳恋は俯いた。
風磨は、フッと笑ったかと思うと、私をそっと抱きしめた。
ぎゅっと抱きしめてくれる風磨に応えるように私も背中に腕を回した。
帰り道、私たちは手を繋いで帰る。
すると風磨は悪戯っぽく笑い、
夏祭りがもっと楽しみになった瞬間だった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!