バンチャンさんを避け続けて、一週間が経とうとしている。
視線を合わせず、手が触れそうになれば逃げて、バンチャンさんから届く心配のメッセージにも一言二言で返すだけ。
だって、そうすれば、私の時間が守れると思ったから。
でも、現実は違った。
バンチャンさんから離れる度、私の心は、寿命が削られる時とは比べものにならないくらいの痛みで切り裂かれている気分だった。
何のために、生きようとしてるんだろう……
鏡を見れば、少しだけ減少のスピードが緩まった数字が浮かんでいる。
でも、鏡に映る私は、前よりもずっと死人みたいな顔。
夜、私は吸い寄せられるように彼の作業室へと向かった。
まだ、バンチャンさんは作業するって聞いてる。
中からは、ひどく悲しくて優しいメロディが聞こえてくる。
ドアをノックする前に、扉が静かに開いた。
その掠れた声を聞いた瞬間、私の防壁は、崩れ去った。
寿命なんて、もうどうでもいい。
明日死んだとしても、今、この人の隣にいたい。
私は自分から、彼の胸に飛び込んだ。
驚いたように固まった彼の体に、しがみつくように腕を回す。
ドクン、と心臓が跳ねる。
触れ合った瞬間、待っていたかのように数字が狂い始めた。
【48:205:10:00:00】
↓
【48:190:05:00:00】
わずか数秒で「15日分」が、バンチャンさんへと流れ込んでいく。
激痛に近い衝撃。だけどどこか甘い。
バンチャンさんの震える手が、おずおずと私の背中に回される。
私は必死に首を振った。
私は彼を、もっと強く求めた。
削り取られていく時間の恐怖よりも、バンチャンさんを失うことへの恐怖が勝った。
分かってたけど。本当は。
好きな気持ちなんて止められるもんじゃないって。
時間が減っていく。
だけど、バンチャンさんに抱きしめられ、その力強い鼓動を感じている今だけは、私はこの世界で一番幸せな時間なんだ。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。