私は五条先生と七海さんに頭を軽く下げて自分の部屋に戻った。
七海さんは五条先生が来てから私のことについて尋ねてこなかった。
なんとなく、私が五条先生に黙っていることに察しがついたのか。
あるいはただ単に私の回答に満足したからなのか。
何はともあれ、よかった。
ベットで仰向けになりながらぼそ、と呟く。
ごろん、と寝返りをうつ。
ベットのそばにある机の上のスマホを手に取る。
地図アプリを開いてみるが、やはり真っ白なままだ。
また寝返りをうち、天井を眺める。
と。
ブルルルっ
スマホが突然震えた。
びっくりした拍子にスマホが手から滑り落ちた。
ガツンッ!
思いっきりおでこにスマホが直撃した。
へんな呻き声をあげてベットの上で悶える。
そんなことをしているうちにスマホの振動がおさまっていた。
私は通話履歴を見る。
そこには伊地知さん、と表示されていた。
そういえば、ここに来たばかりの時に一通りの関係者の人とは連絡先交換してたっけ。
と言っても学長と伊地知さんくらいだけれども。
折り返した方がいいかな・・・・
私は伊地知さんに電話をかける。
ワンコールで出た。
申し訳なさそうな伊地知さんの声が電話越しに聞こえてきた。
私がそういうと伊地知さんは少しホッとしたような息をもらした。
どこだ、それ。
聞いたことない。
・・・・今までの経験からして、おそらくこの中学校もマンガ関係の人がいる中学校なのかな。
伊地知さんは丁寧にそういうと電話を切ったようだ。
ツー、ツー、という電子音が響く。
大溝中学校、ねぇ・・・・
私はスマホをボスン、とベットの上に落として腕を伸ばした。
ただただそれだけが気になった。
まじで漫画とかには出てこない一般の中学校だったりする?
・・・・だいたいこーゆー時はまさかあなたがいるなんて・・・・!ていう展開になりがちな気がする。
私はそっとため息を吐いた。
マイキーは慌てて飛び出てきたあんこをパクっと頬張る。
ドラケンは呆れたようにため息を吐いた。
人気のない公園で二人の声が響いていた────
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。