翌日。
私は学長に呼ばれ、久しぶりに学長の部屋に通された。
学長はぬいぐるみを撫でながら視線をこちらに向ける。
私がそういうと学長は少し驚いたようだ。
私のことをじっと見つめたあと、ふ、と少しだけ笑った・・・・気がした。
そんな曖昧な・・・・とは言えず、曖昧に頷く。
そのあと私は学長からその中学校の周辺の地図を渡してもらい、部屋を出た。
ここから割と遠いな・・・・
ふと、ある公園の名前が目についた。
あれ、この公園の名前、どこかで見たような・・・・
この世界に来た頃・・・・?
私は目を閉じてある公園を強くイメージした。
一瞬足が地面から離れる感覚のあと、空気が変わる。
そっと目を開けてみるとそこは・・・・
マイキーと初めて会った公園だった。
その公園の名前が書いてある看板と地図を見比べる。
てことは、この中学校は東リべの誰かの中学校だったりする?
・・・・てか、東リベに出てくるキャラクターって中学生だっけ?
あれ、高校生だっけ?
あれで中学生はすごいけどな・・・・体つきとかもはや高校生じゃん。
私は地図をくるくる回して方角を確かめながら一歩踏み出した、その瞬間だった。
後ろから声がした。
振り返るとそこには────
少し警戒している武道の姿があった。
突然の主人公の登場に言葉を失う。
これは・・・・どっちだ?
未来の武道か、今の姿のままの武道か。
わからない。
私は少し考えたあと、もし未来の武道なら怪しまれることは確定してしまうがこう質問した。
あ、この反応は未来の武道か。
多分。
私がいてもいなくてもそちらの未来とは関係ないはず。
私がそういうとますます怪しんだようだ。
そういうと武道は少しだけ警戒を緩めたようだ。
にっと笑うと武道は手を差し伸べた。
何故に握手?
そう思いながらも無視するのは礼儀が悪いと思い、そっと手を握った。
これが出会いであり、始まりだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!