第73話

他愛のない
607
2024/01/27 03:00
花垣武道
あなたの下の名前って今何年?
あなた
・・・・んーとね、成人。
花垣武道
・・・・ん?
あなた
お酒も飲めるし、タバコも吸おうと思えば吸える年齢?
花垣武道
・・・・年上っ⁉︎
あなた
・・・・君よりは年下だけど。
花垣武道
え?
あなた
ううん、なんでも。
私は首を振った。
あれから私たちは立ち話もなんだからと公園のベンチに座って話している。
一応フードをかぶっているので、はたから見れば男同士が話しているようにしか見えないはずだ。
花垣武道
そっか・・・・え、じゃあ俺今までめちゃくちゃ失礼な態度だったじゃん⁉︎
敬語使わなきゃ!と武道が言っていたので、別にいいよと言っておく。
花垣武道
いいの?
あなた
別にいいよ。敬語とか気にしないし。
花垣武道
・・・・ならこのままで。
武道はそういうと少し真剣な表情になった。
花垣武道
あなたの下の名前は、なんで溝中に行こうとしてたの?
あなた
・・・・大人の事情ってやつだよ。
花垣武道
言えない?
あなた
うん。
花垣武道
・・・・深追いはしないけど、人の命に関わることではないよね?
あなた
場合によるかな、それは。
私の言葉で武道は表情を固くした。
あなた
ああ、勘違いしてるかもしれないから言っておくけど、別に人間を殺すってわけではないよ。
あなた
逆だよ、守るほう。人間を。
そういうと武道は今度は困惑した表情になる。

コロコロ表情変わるなぁ、この子。

そう思っていると武道は眉根を寄せた。
花垣武道
何笑ってんの。
あなた
え、笑ってた?
花垣武道
なんか楽しそうに笑ってるように見えたけど。
どうやら笑っていたらしい。
私は自分の口元に手を当てる。
確かに口角が上がっていた。
あなた
あーごめんごめん。なんか表情コロコロ変わるから面白くて。
花垣武道
俺が!?
あなた
そ。
私はそっと微笑んで頷いた。
武道は納得していない表情だった。
その時だった。
???
武道、誰と話してるんだ?
視線を上げるとそこには赤毛の男の子が立っていた。
その後ろに3人の男の子もいる。

あ、この子達確か武道とよく一緒にいる子達だ。
赤毛の子───確か・・・・アッくん?───が私を見つめた。
千堂敦
武道の知り合い?
その質問に武道はアワアワしていた。

もしかして元々この子達と武道は一緒にいなかった感じかこれ?
花垣武道
え〜と、そう!友達!なっ⁉︎
・・・・合わせておいた方が良さそうだ。

私は地声よりも少しだけ声を低くして話した。
あなた
・・・・どうも。
たくさん話しすぎると性別がバレそうなので口数は少なめで。
無愛想に見えるかもしれないけど許してほしい。
だって、なんかヒナちゃんに申し訳なく感じちゃうから・・・・
自意識過剰だろうけども・・・・
武道もいじられそうだし。

アッくんは少し目を細めて私を見たあと、そっか、とだけ呟いた。
花垣武道
じゃあ、また明日ここでな!
あなた
ああ。
今日は日曜日で学校には人があまりいないらしく、明日の月曜日に案内してくれることになった。

一回高専に戻るか・・・・

そう思っていると後ろから顔を覗き込まれた。
あなた
っ!
千堂敦
・・・・
アッくんだった。

距離近・・・・

私は顔を背けて距離を取る。
あなた
・・・・何か?
千堂敦
お前、女?
あなた
・・・・さぁ。
千堂敦
まぁ、いいけど。
小さく笑った後アッくんは武道達のところへ走って行った。

・・・・なんだったんだ。
てか、今時のカップルは他の人と話してたら浮気って言われるのか・・・・?
浮気って結婚してる人たちの間でしか使わないのかと思ってたけど・・・・

どーでもいいことを考えながら私は高専の自分の部屋にとんだ。

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