コツコツ、と誰かの足音が廊下に響く。
私は音がする方に目線だけ向けると、五条先生が優雅に歩いているところだった。
…あの人の周りだけステージみたい。
ランウェイ的な?
だなんて、どうでもいいことを考えていると五条先生が私に向かって手を振る。
心底楽しそうに笑いながら五条先生は私のそばまで歩いてきた。
そしてじっと私の目線と同じ方向を見た。
呆れながら五条先生をじと…と見つめる。
当の本人は上機嫌にニコニコと笑っている。
なんかテンション高くない?
たどたどしい発音で呪霊の声が響いた。
ビュン!と鎌が私と五条先生の間に振り下ろされる。
私と五条先生は同じタイミングで左右に飛ぶ。
さらっと冗談を言う五条先生に適当に返事をしつつ、私は目の前でゆらゆら揺れている鎌を見つめる。
鎌があるところらへんに適当に呪力当て続けてたらいいのかな…
私は鎌を握っている奴がいるであろう位置に手のひらを突き出し、自分の手の中に呪力が込められていくイメージをする。
某サイヤ人のなんとか波みたいなイメージで…
どん!と呪力を放つとドコォ!となんともいい音が響く。
カラン、と鎌が空中から落ちる。
それと同時に何かが蒸発したような音が静かに響いた。
パチパチ、と軽く拍手をしながら五条先生は落ちた鎌を拾いにいく。
あはは、と軽く笑いながら手に持った鎌を器用にクルクル回す。
危ないな…
私は若干五条先生から距離を取りつつ口を開く。
思い出したかのように呟くと、五条先生は私に呪具について軽く説明してくれる。
簡単にまとめると呪具とは、呪いが宿った武具。
呪力がない真希さんが呪霊を祓うために使ったり、呪力を込めるために使ったりと色々あるらしい。
五条先生は鎌を指先でなぞりながらふっと笑う。
その姿が月光に照らされてとても神秘的に見えた、なんて絶対に言わないけど。
綺麗だな。
私は今日何度目か分からないどうでもいいことを考えながら五条先生を見つめた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。