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第1話

Prologue
348
2025/07/02 07:20 更新
二月の始まり。

雪の降る日曜日に、それは起こった。




プルルルル、プルルルル、となる電話の
着信音。

私、赤根葵はその音のする方へ、眠い目をこすりながら歩いて行った。






その受話器から流れる声が伝えたものは、にわかには信じられなかった。












「蒼井茜さんが事故に遭いました。」
赤根葵
...え?
ガタッと、私以外に誰もいないリビングに、受話器が落ちる音がうるさいほど響いた。
赤根葵
うっ、嘘...
「どうにか一命は取り留めていますが、それでも"後二十分ほど"しか...」
赤根葵
...っ!!
気がついたら、私は病院に向かって走っていた。

茜くんが搬送されたのは、私の家から走っても十五分ほどかかる位置にある、この街の大きな病院。

(まだ好きって言えてないのに...っ!)

まだ、茜くんには逝ってほしくない。

だけど。

病院に着く頃には、もう茜くんは死んでしまっているのかもしれない。

だけど、きっと生きてくれている、そう言う希望を持って。

ただ、走った。
































病院に着いたのは、家を出てから二十分以上も経ってからだった。
赤根葵
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ...
茜くんの病室は、◯◯◯号室。

◯◯◯号室

◯◯◯号室!!
赤根葵
っあった!
扉は、ガラガラっと、大きな音を立てて開いた。

そこには、ベッドの上に寝ている、茜くんがいた。
赤根葵
茜くん!
彼は、苦しそうにこちらを向いた。
蒼井茜
っ...アオちゃん...?
蒼井茜
来てくれたの...?
蒼井茜
アオちゃんは優しいね...
そんな彼を見て、私はもう、彼はいなくなってしまいそうなんだって、強く感じた。

だけど、それを止めたくて。

私は、ぎゅっと、茜くんの服の裾を握りしめた。
赤根葵
茜くんっ...
赤根葵
逝かないで...!
蒼井茜
...!
蒼井茜
アオちゃん。
苦しそうな声、顔。

きっと、これが。

私は、そう悟った。

信じたくはなかった。

でも、きっと、これから茜くんが言うのが、
彼の「最期の言葉。」
赤根葵
...
赤根葵
なに...?
そう言う私の声は、自分でもわかるほど涙ぐんでいた。






































蒼井茜
...ニコッ
蒼井茜
大好き...
蒼井茜
いや。
蒼井茜
アオちゃん...
蒼井茜
愛してる...
本当に、それが最後だった。

ぴたっと、彼の体からは血の巡りも、
何も感じられなくなった。
赤根葵
っ...
赤根葵
茜くんッ...!
もう、その場にいるのも悲しくて。

私は逃げるように病室からでた。















































茜くんの死から、何日か経った。
赤根葵 
...
覚悟には、数日間かかった。

だけど、もう決めたんだ。














学校の屋上。

風が強く吹いていた、この日。




私は、そこから飛び降りた。






赤根葵 
...
赤根葵
今、そっちに行くからね...!










































 












私は、ジリリリリ、ジリリリリという音で目が覚めた。
赤根葵
...え?

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