第20話

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2025/09/06 20:00 更新














S.H
S.H
 てさにに会いたい … 















     やっと咳も出なくなって

     自由に行動できると思ったのに

     休んでた分の大学ノートを借りたり

     出られなかった分のバイト代を稼ぐために働いていたら

     思ったよりも時間が経っていた


     また期間空いちゃったな

     もう忘れられてるかも

     だってまさかあの時のやけ酒のせいで

     あんな酷い風邪になると思わないじゃん

     それの理由もてさんなのが呆れちゃう

     僕ってばどんだけ好きなんだろう


     一人じゃ不安だから … 誰か誘おうかな














S.H
S.H
 じぇひょん … は , やめとくか 















     だってあいつ

     僕の風邪が治る前も治ってからも

     この家に高頻度で来て飲み潰れては ,

     うなくがどうとか僕がどうとか

     僕に聞かせていい話なのかってくらい赤裸々に

     自分に起こった出来事や気持ちを吐露して

     そのまま寝落ちるのを繰り返してたから


     … まぁ , じぇひょんが僕に向ける好意には

     もちろん気づいていたけど

     まさかうなくにまで手を出すなんて , と思った

     あの時の電話でもおかしなことを言っていると思って

     そんなことする子じゃないって言ってしまったけど

     じぇひょんの話を聞くと納得出来た

     先生には見せない面もあるよな , なんて 。


     すごくめんどくさかったから

     結局うなくと会い続けているのは自分の意思でしょ ,

     そう言ってやりたかったけど

     なんだか可哀想で言えなかった

     あと色々大変みたいだから追い出すこともしなかった

     どうせ次の日には家に来たこと以外全部忘れてるし

     僕が言わなきゃ済む話だからね














S.H
S.H
 ん - よし っ , 行くかぁ 















     一人でも , そうじゃなくても

     僕はてさんに会えればいい


     メガネをテーブルの上に置き , コンタクトに付け替えた














S.H
S.H
 … ふぅ 















     一呼吸おいて , バーの扉を開ける

     いつも通り周りの男には目もくれず

     カウンター席を目指す


     … てさん , 出勤してないのかな


     目立つ赤髪がいない

     久しぶりに会えると思ったのに

     残念だな


     いつもの席に座ってメニュー表を眺める

     今日は何にしよう ,

     てさんが居ないなら普段飲まないやつに …














S.H
S.H
 … え ? 















     " いつもの " が目の前に置かれる

     てさんは居ないのに

     何でこれが出てくるんだろうと

     疑問に思って顔を上げたら

     想像もつかないことが起こっていた














S.H
S.H
 てさ , な ? 




T.S
T.S
 久しぶりですね , ぱくさん 




S.H
S.H
 え , なん , 髪 , 黒 … 




T.S
T.S
 落ち着いてよ 















     焦りすぎ , と言って笑うてさん


     ちょっと待ってよ

     似合ってるし本当にかっこいいけど

     なんで突然 ?

     あんなに綺麗な赤だったのに


     僕が困惑して何も言えないでいたら

     てさんの方からイメチェンしたんだと教えてくれた


     イメチェン , そっか イメチェン …














S.H
S.H
 もったいない … 




T.S
T.S
 え - なに , 赤の方が好きだった ? 




S.H
S.H
 ぁ , いや 黒ももちろん似合ってるけどさ
赤のときはもっと … 見つけやすかったから















     赤の方が好きかとからかうように聞かれて

     危うく好きだと言いそうになった


     でもその3文字を言える勇気は持ち合わせてない

     そのせいでなんだか変な理由になってしまったけど

     実際赤だと見つけやすかった


     まぁ そもそもの話 ,

     赤以外を見たことはないのだけれど














T.S
T.S
 見つけやすかった か ~ , まぁ確かに 















     中々見ないもんね , と笑いながら

     黒くなった髪をなぞる


     その仕草に見惚れて , 目を離せないでいたけど

     目が合う直前に焦って逸らし

     手元にあるカクテルを飲み干した














T.S
T.S
 … ぱくさん , 次俺のオススメでいい ? 




S.H
S.H
 うん 















     初めての提案に心を踊らせていると

     強いから無理して飲まなくてもいいという言葉と共に

     僕の目の前に置かれたのはギムレットだった














T.S
T.S
 ぱくさんはさ , 
好きな人が振り向いてくれなかったら
… どうする ?















     突然のことで困惑したけど

     てさんからこんな話を振ってくるのは珍しいから

     真剣に考えなきゃいけないと感じた


     う ~ ん … ,

     好きな人が , 振り向いてくれなかったら ?

     てさんが僕に振り向いてくれなかったら僕は …














S.H
S.H
 … ずっと好きでいると思う 















     振り向いてくれなくても

     両想いになれなくてもいい

     だって僕が勝手に想ってるだけだから














T.S
T.S
 … そっか , 




S.H
S.H
 … てさな ? 




T.S
T.S
 今日 , ぱくさんに会えてよかった 















     てさんから初めて言われた言葉に喜んで

     ギムレットを少量 , 口に含んだ

     そんな僕にてさんは微笑みだけを残し

     上がる時間だからと , 背を向けて行ってしまった



     … その後 , このバーでてさんを見ることは無くなった














次話から何話か てさん いはん りう のお話になります ˙ᵕ˙

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