目を開けると、私は真っ暗な空間にいた
何処だろう
そう思って周りを見渡したが、ただ暗闇があるだけだった
ここが、死後の世界という場所なのだろうか
そんなふうに考えてみて、ふと、目の前に椅子があることに気がついた
アンティークなデザインの、汚れが目立つ古びた椅子
これは何なのか考えてみるが、結局答えは出ず、私は試しに座ってみることにした
その椅子に腰を掛け、暗く冷たい空間に、私は一人呟いた
そう呟いた瞬間、目の前の空間に映像のようなものが流れた
流れてきたのは、私の記憶
私の、少しだけ…本当に少しだけ嬉しかった記憶
もっと一緒に生きたいと思ってしまった
後悔しかないはずなのに、嫌なことしかない人生なはずなのに………
ふと、そんな声が聞こえた
振り返るとそこには、羽を生やし、人間の姿をした悪魔がこちらを見て佇んでいた
悪魔は、私に言葉を投げかけてくる
私は、俯いたまま、悪魔に言葉を返した
私は、ふと思ったことを口にした
私は悪魔化したはずだ
そうして私は死ぬはずだった
それなのにこの悪魔は、まるで私がまだ生きているかのような言い方をする
その言葉を発した瞬間、悪魔の態度は一変した
私は、襲いかかる悪魔に対して一言………
そう呟いて、私は腰に携えた細い剣で、その悪魔を斬った












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!