hs × mh
雪が降った次の日、ミョンホに散歩に行こうと誘われたホシ。
外に出るとダウンを着ているのに、思わず「さむっ」と声が出るほどの冷え込みだった。
辺り一面、銀世界。
朝が早かったこともあって、近くの公園にはまだ誰の足跡もない。
「すごいな……」
ホシは寒さに耐えきれず、ポケットに両手を突っ込んで歩き出す。
その数メートル後ろを、ミョンホが静かについてきていた。
しばらく歩いて、ふと後ろを振り返る。
「……」
ミョンホは、ホシの足跡を一つも外さないように、丁寧に辿りながら歩いていた。
一歩一歩、真剣な顔で下を見つめて同じ場所に足を置く。
(なにそれ、かわいすぎだろ)
ホシは思わず口元を緩める。
普段は自分がよくふざけるせいで、周りからはミョンホの方が年上っぽいなんて言われがちだけど、こういうところはどう見ても弟だ。
「ミョンホっ」
名前を呼ぶとミョンホはぴたりと足を止めて顔を上げた。
冷たい空気のせいで、鼻が少し赤くなっている。
「なに?」
その顔があまりにも無防備で、ホシは思わず吹き出してしまった。
「なんで笑うの」
「いや……足跡、ちゃんと踏んでるのがさㅎ」
「だって…きれいだから」
当たり前みたいに言うミョンホに、ホシはまた笑う。
「じゃあさ、寒いし…」
ホシは歩き出しながら振り返って言った。
「あとで、あったかい飲み物買ってあげる」
その瞬間、ミョンホの表情がぱっと明るくなる。
「ほんと?」
「ほんとㅎ」
すると、ミョンホはさっきより少しだけ歩くスピードを上げた。
それでもちゃんと、ホシの足跡の上を踏みながら。
(……そこもかわいいんだっての)
ホシはポケットの中で手を握りしめながら
誰にも聞こえないように小さく息を吐いた。
白い景色の中で、2人分の足跡が1つになって静かに続いていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。