さっきも言った通り、私と目黒は同じ部活に入っている。
だから部活中は目黒のことを見放題!!クラスが違う分我慢しているんだからこの時間は至福の時間と言ってもいいよね?ね!!
まぁ、おかげで毎日数人は目黒のファンと思われる女が遠くの方から見ている。ほんと、見に来るのやめてくんないかなぁ、部活に集中できないし、第一私の目黒(予定)なんだけど。
あーあー、今日も女来んのかなー??
そろそろ締め上げるぞコノヤロウ…
別にメンヘラな訳ではない。そう、嫉妬深すぎるだけ。
「…ん、…ちゃん、あなたの下の名前ちゃん!!」
「あ、え、何…?」
「なんか怖い顔してるよ?それと、英語始まってる。スマホしまって!」
「え、うわ、ほんとじゃん!ごめん、完全に自分の世界に入ってた」
目黒のことばっか考えていたせいで、ラウに声をかけられるまで授業が始まっていることに気がつかなかった。
前後席ってやっぱり大事だな…にしても私重症かよ笑笑
「伊藤先生、ネチネチしつこいんだからちゃんと受けるのが身のためだよ」
「ほんとありがとう、ラウがいなかったら死んでたわ」
「ほんとだよ笑笑 どうせまためめのこと考えてたんでしょ?」
「当たり~笑笑 いぇーい♪」
「いぇーいじゃなくて笑笑 教科書24ページだからね!ちゃんと受けるんだよ!」
ラウはそう言うと再び前を向いた
よく考えればラウもイケメンだよねぇ…
本人コミュ障発動して初対面の人(特に女子)とはあまり関わらないけど裏で人気なタイプ。
目黒とはまた違うイケメンで、所謂ハーフイケメンというやつか。
おまけに背高いし足細いし端正な顔立ちしてるし、目黒と超がつくほど仲良いし(若干嫉妬)、気がついたらいつも目黒と一緒にいるし(結構嫉妬)
うーーーん……最後2つに関してはなんかスッキリしないな
贅沢を主張したい訳じゃないけど我ながらイケメンに囲まれた生活をしていると思う。
だからって別に何かあるわけでもないし必要以上に近づかないから妬まれることもない(と思ってる)しで、結果安定した学校生活を送れているんだわ。
頭に関してもラウが教えてくれるから成績はそこそこ取れてるし言葉通り平々凡々って感じ。
強いて言うなら嫉妬深すぎて目黒に嫌われないかってことが心配かなー。アイツめんどくさいこと嫌いだし。
「早く授業おわれぇ……」
「ふっ笑笑」
ラウが前で肩を揺らして静かに笑っていた
―――――・・・
「やっと終わったぁ……」
「伊藤先生めっちゃ眠くなる声してるもんね」
「ほんとだよぉ、」
「普通に俺当てられてビックリしたし」
「あー、そういえば当たってたね笑 けど答えられてたじゃん」
「たまたま予習してたとこだったからなんとか命拾いしただけ笑」
「頭いい人がする発言だ」
「いやいや、…そういえば教科書借りに行かなくていいの?」
「あ、そうだった。自分の持ってるから忘れてた!ちょっと行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
危ない、危ない
せっかくのチャンスを逃すとこだった
「…あれ、目黒居ない」
廊下に出て目黒が居るかどうか確認したけど居なかった。
教室に居るのかな?
教室は嬉しいことに横だから行きやすい。
「目黒どこ行ったんだろ」
『あ、いた』
「あ、目黒!」
『はい、どーぞ、』
「ありがと」
『うん』
目黒から受け取った教科書の裏表紙には小さくクラス番号名前が書いてあった。目黒、ちゃんと名前書く人なんだ…
あぁ、私、本当に目黒に教科書借りたんだな♡
この夢のような時間を一生噛み締めていたくなった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。