第318話

‥各々の決意‥
39,199
2020/05/11 06:59
松川𝓈𝒾𝒹𝑒.°



花巻「泣いてたな」


松川「……だな」



及川と岩泉と別れてから、帰路についた俺達は烏野の体育祭を思い返していた。



借り物競争、烏野の美人マネとリベロが歓声を浴びる中で、メガネミドルブロッカーとあなたが2人、グラウンドから出ていくのが見えた。




あなたの頬には、涙が伝っていて。




嫌でも分かってしまった。





花巻「ははっ、俺……好きかもしれねぇわ」



ポケットに手を突っ込んで、笑う。



“かも”……ね。









俺は、“好き”だよ。





もう、歯止めかける必要無くなったな……。




今度、晩飯作ってもらおう。




友達の妹とか、関係ない。





花巻「狙おうかな~」



松川「……そうだな」



花巻「え」





あー……あの時、既成事実でも作ってれば良かったか。



まぁ、いいや。




時間はたっぷりあるし……ね。


渡瀬𝓈𝒾𝒹𝑒.°


体育祭が終わり、ファンクラブ幹部でコンビニに集まった。


No.eight「麗しきあなた様が……泣いておられた……」



そう、借り物競争直後のあの事件についてだ。



No.two「情報を集めたけど……多分あの背の低い2年生……西谷という男が原因ですね」



渡瀬「あなた様の想い人、か。しかし失恋なさった今、下手に我々が動くことはできない。あなた様の幸せを1番に考えるならば_____」






?「(あなた様……?あれ、烏野の制服だよな。失恋……?)」


??「おーい国見、行くぞ」


国見「……うん」


??「どうかした?」




国見「別に……攻めていこうかなって思っただけ」


??「(?)」



真綾𝓈𝒾𝒹𝑒.°


1-4の打ち上げは、カラオケで盛大にすることになった。



ジュースをつぎに廊下に出て、3人で話す。



真綾「綾乃~、大丈夫だってば」


綾乃「うん……まぁ私が落ち込んだところでなにも変わらないんだけ、ど」



確かにあなたのことは心配……。


でも、月島くんがついてるしなぁ。



綾乃「月島くんと2人……大丈夫かなぁ」


真綾「失恋には新しい恋だよ!」


さくら「でも私、あなたには影山くんがいいと思ったんだけど……」


真綾「放っといてもあそこは一緒にいるでしょ~」



?「……ね、君ら烏野だよね?」




とりあえず今は月島くんに任せよう……。


ジュースを持って部屋に帰ろうとすると、よく分からない人に話しかけられた。



綾乃ともさくらとも、知り合いじゃなさそう。



綾乃「はぁ……そうですけど」


?「1年?」


さくら「(チャラい……でもそれでいてイケメン!)はい!」


?「さっきの話……あなたって、岩泉あなたのこと?」



……え?



どうしてあなたのこと……。



私たちの動揺に確信したのか、その人は「ふぅ~ん」と意味深に笑った。



??「お~い。はよ戻れ!」



呼ばれたその人は、「おー」と手を振って私たちに背を向ける。




?「君らあなたの友達なんだよね?」


真綾「まぁ……」




そして振り替えって、見るもの誰もを虜にしそうな不適な笑みを浮かべた。








二口「堅治が、「本気でいくから覚悟しといて」って言ってたって、伝えといてよ」


五色𝓈𝒾𝒹𝑒.°



岩泉あなたさんに一目惚れしたと伝えてから、1週間以上が経過した。


あれから、連絡はとっていない。



俺の誕生日に、「お誕生日おめでとう。こないだはごめんね」と来ていたけどまだ返せていない。




何て返せばいいのかわからなくて。



だって、あの子は悪くないから……謝られても、俺が悪いだけだから……。





だけどやっぱり、もう一度会って話したくて、俺はメッセージを打った。
五色 工
五色 工
お祝いありがとう!
前のことで、もう1回会って話したいんだけどダメかな?
好きな人いるからダメって分かってるつもりだけど、どうしても会いたい。



五色「え!?」




暫くしてから、思ってもなかった通知に思わず声を出してしまった。
岩泉  (なまえ)
岩泉  あなた
私もうやむやにしてごめんね🙇‍♀️
会おっか。いつがいいかな?
五色 工
五色 工
いいの!?ありがとう!
じゃあ、明日は?部活ある?
岩泉  (なまえ)
岩泉  あなた
3時までだからその後でよければ!
工くんは?
五色 工
五色 工
俺は5時までなんだけど、いいかな?
岩泉  (なまえ)
岩泉  あなた
りょーかい👌
白鳥沢の近くの公園に行くね!
五色 工
五色 工
ありがとう!!


……あれ、なんか予想外の展開に。



というか。





五色「好きな人いるから無理って言ってたよな……?え、失恋した、ってこと?」



ぶつぶつ呟いて、よく分からなかったので明日聞こうとスマホを閉じた。



白布𝓈𝒾𝒹𝑒.°



五色「え!?」


ん?




寮の共同スペースでソファーに正座してスマホをつついている次期エース。


すぐ後ろにいる俺に気がつかず、ぶつぶつ言っている。



五色「好きな人いるから無理って言ってたよな……。え、失恋した、ってこと?」




失恋……?



悪気ありでスマホを覗くと、どうやら連絡相手は“あいつ”。




好きな奴いたのか……。




ん、それで失恋?





あ、そういえば、監督が明日は1年居残りって言ってたな……。





ふーん……5時に公園、ね。

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