……やっぱり勇気がいるよね。
私は今、白鳥沢の校門に立っています。
若くんが来るのを待ちながら、自分の愚かさを悔いています。
図書館て……白鳥沢のとは流石に思わないでしょ!?
帰ろうかな……。
牛島「あなた、どこへ行く」
捕まりました。
もう後戻りはできません。
あなた「いやぁ……前もだけど、制服で入ると色々問題あるかなって……」
後ろから首もとを掴まれたまま弁解すると、手を離してくれた。
振り向くと、「大丈夫だ」と微笑する若くん。
大丈夫ってなにが…………?
と、若くんの後ろからピョコッと現れる影。
赤いツンツン髪。
相変わらず考えてることが読めない。
あなた「天童さん……」
天童「やっほ~あなたたん~っ」
あなた「え、「あなたたん」……?」
天童「うん~可愛いでしょっ?」
あなた「あ、はは……」
可愛いとは。
あなた「って、若くん、何が大丈夫なの?」
牛島「?その制服を着ていても大丈夫だ」
あなた「……だから、どうして?っ、え、なに?天童さんがなんか企んでそうな気がするの私だけ!?」
手を後ろに回してニタニタしながら体を揺らして寄ってくるので若くんの回りを逃げ回る。
牛島「あなたはやはり人を見る目がある」
あなた「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ離して!」
涙目で逃げ回る私を再度首もとを掴んで捕まえると、若くんは感心したようにそう言った。
天童「意外とすばしっこいねぇキミ……若利くんナイス~っ」
反対側から回ってきて、正面に立つ天童さん。
あなた「~っ!」
観念してキュッと目を瞑ると、若くんが首もとから手を離し、直後にフワッと香るいい匂い。
ズボッ
なんかデジャヴ……。
恐る恐る目を開けると、目をキラキラさせる天童さん。
なんか……暖かい……?
牛島「よく似合っている」
下を見て納得した。
青城の次は白鳥沢か……なんか浮気してる気分……。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。