第142話

‥家庭教師‥
48,209
2020/03/27 09:56
……やっぱり勇気がいるよね。




私は今、白鳥沢の校門に立っています。




若くんが来るのを待ちながら、自分の愚かさを悔いています。




図書館て……白鳥沢のとは流石に思わないでしょ!?




帰ろうかな……。





牛島「あなた、どこへ行く」



捕まりました。



もう後戻りはできません。



あなた「いやぁ……前もだけど、制服で入ると色々問題あるかなって……」



後ろから首もとを掴まれたまま弁解すると、手を離してくれた。


振り向くと、「大丈夫だ」と微笑する若くん。



大丈夫ってなにが…………?



と、若くんの後ろからピョコッと現れる影。


赤いツンツン髪。


相変わらず考えてることが読めない。



あなた「天童さん……」


天童「やっほ~あなたたん~っ」


あなた「え、「あなたたん」……?」


天童「うん~可愛いでしょっ?」


あなた「あ、はは……」



可愛いとは。



あなた「って、若くん、何が大丈夫なの?」


牛島「?その制服を着ていても大丈夫だ」


あなた「……だから、どうして?っ、え、なに?天童さんがなんか企んでそうな気がするの私だけ!?」


手を後ろに回してニタニタしながら体を揺らして寄ってくるので若くんの回りを逃げ回る。


牛島「あなたはやはり人を見る目がある」

あなた「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ離して!」


涙目で逃げ回る私を再度首もとを掴んで捕まえると、若くんは感心したようにそう言った。


天童「意外とすばしっこいねぇキミ……若利くんナイス~っ」


反対側から回ってきて、正面に立つ天童さん。


あなた「~っ!」


観念してキュッと目を瞑ると、若くんが首もとから手を離し、直後にフワッと香るいい匂い。


ズボッ


なんかデジャヴ……。


恐る恐る目を開けると、目をキラキラさせる天童さん。



なんか……暖かい……?



牛島「よく似合っている」



下を見て納得した。



青城の次は白鳥沢か……なんか浮気してる気分……。


あなた「図書室、ひろ…………」


スカートがギリギリ裾から覗くくらいに大きいジャージを身にまとい、案内された図書室に入って放った第一声に天童さんも若くんも笑った。


天童「普通デショ。じゃあ勉強しよ~席は予約してるからネ」


席、予約制なんだ……。


うちの図書室なんて人ほとんどいないのに……。


でもやっぱり、ジャージを着てる私達は周りから目をひいていた。


席に座って、鞄を置く。


と同時に図書室に飛び込んできた誰かが迷わずこっちに走ってきた。


あ、自転車盗ってきた人だ。


たしか……。


天童「工~っ」


そう。五色工くんだ。

ヘラヘラして手を振る天童さんに詰め寄る。




五色「「工~っ」……っじゃないですよ!俺のジャージどこやったんですか!」




ジャージ??










え、まさか…………え?

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