前の話
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研磨「あなた…………また会える?」
あなた「っ、もう!可愛いなぁ研磨くんは……!会えるに決まってんでしょっ」
研磨くんは私のその言葉を聞くとホッとしたように顔を緩めた。
研磨「じゃあ……遊びに来てね」
あなた「うん!遊びに___っ、え?」
遊びにって……東京に??
あなた「えっと、遊びに行ったら泊まりになるから、お金貯まったら……」
研磨「大丈夫」
あなた「大丈夫って、なにが……?」
まさかお金を出すなんて言いはしないだろうな?
研磨「俺の家に泊まればいいよ」
……なんやて。
夜久「こっ……こらこらこら!!研磨何言って__」
研磨「……?」
方針状態の私の代わりに突っ込んだ夜久さんに、不思議そうな顔をした。
黒尾「あのなぁ研磨。年頃の男女が1つ屋根の下なんて__」
研磨「……あなたと一緒にいたいもん」
……これを素で言っちゃうんだからなぁ。
研磨「__それに」
黒尾「?」
研磨くんは、ムスッとして黒尾さんを見た。
研磨「クロはあなたとお風呂入ったのにズルい。俺も入る」
あなた「っ!!!!?」
再度の研磨くんの爆弾発言に、もう付いていけない。
黒尾さんは大笑いして私の肩にポンッと手を置く。
あなた「ちっ、違うの研磨くん……お風呂は」
黒尾「なんだよ一緒に入ったのは事実じゃねぇかっ」
ポンポンっと叩かれる。
あなた「ややこしくなるから黙ってろ!」
睨んでいると黒尾さんの肩に腕が回る。
澤村「そういえば、そんなこと言ってたなぁ……話を聞かせてもらおうか?」
グイッ
肩に置かれた黒尾さんの手から逃れるように菅原先輩に引き寄せられた。
菅原「あなた、辛かったべ?……側に居てやれなくてごめんな……」
……何この茶番。
いいや、乗っとこう。
あなた「ぐす……はい…………私、怖かったですっ」
……あ、いい匂いがする。
黒尾「おいお前ぇ!!俺が悪いみたいになるだろやめろやぁ!」
澤村「はい処刑確定」
夜久「俺達も加勢しますよ」
研磨「……クロにはお仕置きが必要」
菅原「いけいけぇっ!」
と、菅原先輩の腕の中に収まっていた私は手を引かれて再度引き寄せられた。
あなた「っ?……清水先輩」
清水「あなたちゃん……ごめんね。1人にさせて」
涙ぐんでぎゅうぅっと抱き締められ、なんだか張り詰めていた気持ちがほどけて安らいだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。