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第1話

‥混乱‥
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2020/04/13 13:59
中庭へ行くと、ベンチに座っていた月島くんはすぐにこっちに気がついた。




シュバッ




月島「……なにしてんの?」



咄嗟に両手を構えて臨戦態勢をとった私を見て呆れたように言った。



あなた「お、お触り禁止だからっ!!」


月島「……はぁ?」





そう、色々考えた末、結局月島くんに本気出されたら力技で敵うわけないしこうして口頭でお願いするのが一番だと考えた。


私の言葉の意図をようやく掴んだらしい月島くんは、はぁ……とあからさまなため息をついた。



月島「僕がそんな節操なしに見える?」


あなた「ひっ、人の首にキ……キスマ付けといてよくそんなこと言えるね!」


月島「えぇっ?なになに、キ?よく聞こえなかったんだけどぉ~」


あなた「うぐぅ……!」


いつも通りのいびりに唸っていると、珍しく機嫌良さそうに笑って座るように促してきた。



人1人分空けて腰かけて少しの沈黙の末、初めに口を開けたのは月島くんだった。




月島「眠い?」


唐突な質問にその真意を掴めぬまま、「まぁ……」と曖昧な返事をするとピクッと肩を動かした。



月島「今日は、寝ちゃダメだから」


……んん?


あなた「え、別にいっつも寝てないよね?」



不思議に思って尋ねると、呆れたように頭を抱えて鼻を摘まんできた。



あなた「ふぐぐぅっ、やめろ~っ」



両手で必死に手を掴んで引き剥がすと、月島くんは眼鏡をクイっと整えた。



月島「キミってほんと馬鹿……」


あなた「えぇ……?」



これでも1位獲ったんだけどな……おっかしいなぁ。






それからは思っていたより他愛ない話で盛り上がった。



隣町に新しくできたケーキ屋さんのことを言うと、アップルパイを目の前にした研磨くんのように目をキラキラさせて携帯で調べ始める。


「今度一緒に行こうよ」と誘うと、バッと顔を上げてからその輝かせた目をふっと逸らして静かに頷いた。



ケーキのことになると純粋で可愛らしい(?)のに……。



そういえば、月島くんってモテるよね。



ふと廊下で月島くんがかっこいいと噂していた女の子達を思い出した。



あなた「ね、好きな人とかいるの?」

月島「っはぁ??」


あらんかぎりに眉間に寄せたシワを見て、あれ、何かおかしいこと言ったかなと不安になった。


大きなため息と共に腰を折り曲げて両手で髪の毛をわしゃわしゃしている。


あなた「……どうかした?」



最近の月島くんはちょっと情緒不安定なのかも。

流石に心配だし声をかけると、「誰のせいだと思ってんの!」と顔を上げた。



あなた「……え、うん、ごめん…………?」




あれ?



今の私が悪かったの??




よく男の子は、「女って分かんねぇ」とか言うけどこっちからしたら「男って分かんない」だよね。


例えばそう、西谷先輩だって……。


あなた「ね、ねぇ。男の子が女の子に2人で話そうって誘うのは、少しでも好意があるから、なの……かな?」





月島「……………………………………混乱してきたんだけど」

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