翌日。
わたしは少しだけわくわくしていた。
何をするかも分からないが
きっと普通の授業より楽だし
性に関するビデオを見たりして
感想を書いたりするだけだろうと思っていた。
音楽や家庭科と一緒。
そう思っていた。
2年2組の性教育の時間は
火曜日の2時間目、木曜日の5時間目に設けられていた。
1限が終わるとみんな筆記具を持って体育館に移動する。
「それでは性教育の時間を始めます。
そこでまず性教育の指導を行う教師を紹介します。」
みんなに説明する先生は
可愛くて優しくて素敵な保健の先生。
みんなからミキちゃんと呼ばれている。
「はい、まず主要教師はわたしと、数学の加藤先生、美術の飯田先生です。」
―――――え?
(なんで!?どうして加藤先生が!?)
ミキちゃんの言葉がわたしを混乱させた。
数学の加藤先生はわたしの大好きな先生で
一番尊敬している先生。
理系だけど数学が少し苦手なわたしを
加藤先生はいつも丁寧に分かりやすく教えてくれた。
「ミ、ミキちゃんっ!
加藤先生って数学の先生やめて
こっちにきちゃったんですか!?」
わたしは思わず大声でミキちゃんに質問した。
「あらあら、違うわよ。
ちゃんと数学の授業もなさります。
安心してね。」
わたしはミキちゃんの言葉にとても安心した。
すると体育館の扉が開き
加藤先生と飯田先生がやってくる。
(加藤先生、あいかわらずカッコいいなあ)
加藤先生はもう40歳は越していておじさんだが
わたしにはとってもカッコよく見える。
背が高くて長い手足に少し筋肉質なからだ。
そこらへんのおじさんとはまるで違う。
(加藤先生に会える時間が増えた!ラッキー!)
恋愛感情のようなものはないが
教師としてとても好きだった。
「じゃあいまからはじめるぞー。
とりあえずみんな腰おろして。」
加藤先生の声でみんなが座る。
「通常の課程では2学期から実習に入るんだが
1年遅れをとっているので今日からでも
少しずつ実習を加えていくなー。
じゃあとりあえずビデオ見るから感想書けよー。」
そう言って小さめの白紙を配る。
(え?実習ってなに……?)
わたしは実習という言葉が気になったが
ビデオが始まってしまったのでビデオに集中した。
保健の授業で見るようなものとほとんど変わらない、
妊娠の過程や生殖器の仕組みなどについてだった。
ビデオは30分くらいで終わり
ミキちゃんが紙を回収する。
「じゃあいまから実習しますね。
始めに加藤先生とわたしが見本を見せるので
あとからみんなにも同じことしてもらいますね。」
そう言ってミキちゃんと加藤先生は体育館の舞台へ上がっていく。
「今日はあと20分しかないから女性器についての説明だけな。」
加藤先生がそう言っているうちに
ミキちゃんが舞台袖から椅子を持ってくる。
ミキちゃんはスカートをはいたままパンツを脱ぎ始めた。
女の子は明らかに動揺し
男の子はその様子に興味津々だった。
わたしの心臓も大きな音を立てている。
ミキちゃんは服の上に白衣も着ていて
見た目はなにも変わらない。
加藤先生がミキちゃんを椅子に座らせ
加藤先生の手がミキちゃんの膝を触り
そのままぐいっと開脚させた。
男の子も女の子ももう無言で
ただただ舞台の上でM字開脚をしているミキちゃんをじっと見ていた。
「これがM字開脚と言う。
そしてこれが生殖器。
いわゆるマンコってやつだな。」
加藤先生がそう言うと
ミキちゃんのマンコに少し触れる。
ミキちゃんは恥ずかしそうにしているが
笑顔でみんなのほうを見る。
加藤先生は数学の授業と同じように真面目な顔で
でも手だけはチョークでなく
ミキちゃんのマンコにある。
わたしは見ていられなくなって
たまらず目を背けた。
すると後ろから飯田先生が近寄ってくる。
美術のおばちゃん先生だ。
「北見さん、ちゃんと見て。
授業だからね。」
そう言われて恐る恐るまた視線を舞台に向ける。
「これはクリトリス。
とても感じる部分だな。
指で広げて少し触ること。
今日は時間も少ないから
とりあえずここまでやりなさい。」
加藤先生はそう言うと
ミキちゃんを椅子から下ろし
パンツをはかせていた。
「ペアは決めてある。
2ヶ月ずつ交代するからな。
今月のペア発表するぞー。
1番と10番ー。2番と27番ー。…」
わたしのペアは幼なじみの圭。
でもわたしの頭は混乱とショックでそんなことできるわけないという言葉が何度も頭の中を駆け回っていた。
「美優紀か、よろしく。」
心なしか圭がいやらしい笑みを浮かべているように思えて不安になった。
「男同士のペアになっている奴はミキちゃんか飯田先生のを見せてもらうか他のペアに混ぜてもらえー。」
それを聞いた男ペアがミキちゃんを取り囲んでいた。
「じゃあ美優紀…パンツ…」
圭がわたしのパンツを脱がせようとする。
「ひ…ひとりで脱げるから!!」
少し怒り気味に手を振り払い
少しずつパンツをおろす。
「じゃあ…開脚…」
わたしは自分のマンコを圭に見せた。
脚を思いっきり広げて
早く終わるのを待つ。
「……クリ…どこ…だろ…」
圭は慣れない手つきで
わたしのマンコを触る。
「どこだ………?」
わたしはだんだん濡れてきてしまいそうで
一生懸命ほかのことを考えた。
けれど、からだは正直で
少しずつ濡れていく。
「はい、そこまで。
女子はパンツをはきなさい。
木曜日、復習をします。
当てられたらちゃんとクリの場所が
分かっているか実践してもらうからな。
今クリが見つからなかったやつは
放課後とかに復習しとけよー。
じゃあ今日はおしまい。」
まるで数学の授業のように
復習の説明をして加藤先生たちは体育館を出ていった。
その場で泣き出す子もいれば
ムラムラしてきて
ペアに抱きつく女の子もいる。
わたしは内心パニックになって
とりあえずパンツをはき
教室に向かった。
夢だと思っていた。
3時間目は数学で
さっきまでエロいことしてた加藤先生が
大真面目な表情で問題を解説している。
わたしは恥ずかしくて
授業が全く耳に入ってこなかった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。