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第10話

🖤
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2026/03/09 13:45 更新
公園の街灯の光が、少しだけ弱く見える。

時間、だいぶ経ってる。

温斗はまだ、くっついたまま。

腕、離さない。



(なまえ)
あなた
…温斗
渡辺 温斗
渡辺 温斗
んー




顔、まだ肩に埋めてる。

完全に甘えた声



(なまえ)
あなた
そろそろ帰らないと



その一言。

温斗の腕が、ぴくっと止まる。

沈黙。

数秒。





渡辺 温斗
渡辺 温斗
もうちょい





ぼそっ。

でもあなたが少し笑う。



(なまえ)
あなた
さっきからそれ言ってる…





温斗、むっとする。

でも離れない。

むしろ——

ぎゅ。

最後みたいに抱きしめる。




渡辺 温斗
渡辺 温斗
…帰りたくない




本音、ぽろっと出る。

でもすぐ言い直す。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
いや、帰るけど




変な言い方。

自分でも分かってる。

あなたが少し体を離そうとする。

その瞬間。

温斗の手が、服を掴む。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
待って、?





声、少し焦る。

目、また赤い。

さっき泣いたのまだ残ってる。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
明日会える?
(なまえ)
あなた
会えるよ




その一言で、

温斗の表情が少し緩む。

でも。

まだ離れない。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
ほんま?
(なまえ)
あなた
ほんと





沈黙。

それから、やっと。

ゆっくり腕が離れる。

でも完全には離れない。

手だけ、まだ繋いでる。

温斗、少し目を逸らす。

照れてる。




渡辺 温斗
渡辺 温斗
今日さ、めっちゃダサかったよな俺





小さく笑う。

でもその笑いは、ちょっと弱い。

あなたが首を振る。




(なまえ)
あなた
ダサくないよ




その言葉に、温斗の心臓がまた少し跳ねる。

そして。

指、少し強く握る。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
…俺さ
渡辺 温斗
渡辺 温斗
あなたのこと、めっちゃ好きやから




静かな夜に落ちる言葉。

それだけ言うと、

照れたみたいに目を逸らす。



渡辺 温斗
渡辺 温斗
だから、気をつけて帰って、?




意味わからない言葉。

でも多分。

自分が離したくなくなる前に、

帰したいんだと思う。

街灯の下。

手、まだ繋いだまま。

別れる時間が、ゆっくり近づいてる。

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