第16話

★手を上げて?*蘇枋/甘め?
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2025/07/20 21:00 更新
蘇枋隼飛
あなたの下の名前ちゃん、どこ行っちゃったんだろう








周りを見回すが、あなたの下の名前の姿はない








(あなたの下の名前ちゃんって確か…)









蘇枋はあなたの下の名前を探しながら来た道を戻り出す









蘇枋隼飛
………あ、みつけた!あなたの下の名前ちゃん、勝手に離れたらだめじゃないか
あなた
あ、蘇枋っ!よかった〜、もう会えないかと思ってた…






あなたの下の名前は蘇枋に駆け寄ると、一気に安心したような表情になる





そんなあなたの下の名前を見て蘇枋はほっとした表情で微笑む





蘇枋隼飛
もう、方向音痴なんだから、ちゃんと見失わないように着いてきてね?
あなた
ご、ごめんなさい……




言い訳するでもなく、素直に謝るあなたの下の名前





いつもなら反発してくるが、しおらしい反応に蘇枋も少しキョトンとする










(あれ?やけに素直だ…迷子になって不安だったのかな…?)










なにかないかと辺りを見回すと、目に付いたのは射的の屋台





この辺りは射的や金魚すくいなどの娯楽屋台が場所をとっていて、飲食系屋台が立ち並ぶ通りと比べると時間帯的にも人通りも少なめだった





蘇枋隼飛
…あなたの下の名前ちゃん見て、射的の屋台があるよ!…何か欲しいものあるかい?
あなた
わっ、あのぬいぐるみ可愛い!





あなたの下の名前が指差したのは、そこそこ大きくて重量もありそうな猫のぬいぐるみ





(うん、あのくらいなら)






蘇枋隼飛
確かにあのぬいぐるみ可愛いね、すみません1回お願いします





蘇枋は屋台のおじさんから5つのコルクを受け取って、射的銃を手に取る







他のお客さんたちは身を乗り出したり手を伸ばしたりして目的のものを狙っているのに対し、蘇枋はまるでプロ顔負けの立ち居振る舞いで構え、目的のものを狙う









1発目…









ぬいぐるみの左下側に命中し、少し斜めに傾く









あなた
わっ!動いたよ?!
蘇枋隼飛
次は反対側を狙ってみるね?





次のコルクを銃先に詰めて、真剣な表情で狙いを定める









2発目…







宣言通り、右下側に命中し、ぬいぐるみはさっきとは逆方向に傾く






あなた
すごいすごい!





はしゃぎ喜んでいるあなたの下の名前をチラッと見る








(やっぱりあなたの下の名前ちゃんは笑ってるほうが可愛いな)







蘇枋隼飛
…ねぇあなたの下の名前ちゃん、この5発であのぬいぐるみ取れたら、話したいことがあるんだけど聞いてくれる?
あなた
話?うん、いいけど…
蘇枋隼飛
約束だよ?






狙いを定めて引き金に指をかける














その瞬間…隣から小さく悲鳴が上がった












あなた
やっ…!!
蘇枋隼飛
あなたの下の名前ちゃん?どうしたの?






突然のことに驚いて、射的銃を下ろしあなたの下の名前を見る







あなた
い、今…誰か…お、お尻…っ







あなたの下の名前は涙目で太もも辺りを摩りながらフルフルと震えている









その様子を見て、沸々と怒りが込み上げてきた










蘇枋は鋭い目つきで辺りを見回すと、次々に女性の下半身を触っている男が目についた








蘇枋隼飛
…あなたの下の名前ちゃんはここで待ってて
あなた
す、蘇枋…?
蘇枋隼飛
大丈夫だよ、すぐ戻ってくるから





口調はいつもの蘇枋、だけど目つきは鋭く男を追っていた







射的銃を持ったままスッと歩き出す蘇枋








音を立てずに男の背後に近付き、射的銃を突きつける









蘇枋隼飛
おじさん、手を上げて?







男はビクッと体を揺らして蘇枋に向き直る







蘇枋隼飛
ほら、手を上げて?
……さっき俺の隣にいた子、触ったよね…?






蘇枋の鋭い視線と向けられた射的銃の銃口は、男に圧をかける









男は「ヒィッ」と小さい悲鳴をあげて、蘇枋の指示通りに手を上げた








顔は血の気が引いて、汗を吹き出しながらブルブルと体を震わせていた








蘇枋隼飛
そんなことしちゃだめだよね?小さい頃に習わなかったのかな?おじさんに家族とかいるのなら、その人たち泣いちゃうよ?見たところ会社員みたいだけど、仕事もクビになっちゃうかもね?そこまで考えてやった事なのかな?





鋭い視線のまま追い詰める蘇枋








銃口は男の顎辺りに突き付けられている









男は動けないまま「ごめんなさい」を繰り返していた









蘇枋隼飛
謝っても遅いよ?…ほらね






騒ぎを聞きつけて警備員が蘇枋たちのところまで駆けつけた








事情を説明し、男は警備員に連れられてその場を後にした







あなた
蘇枋…っ
蘇枋隼飛
あなたの下の名前ちゃん、もう大丈夫だよ。悪いおじさんは捕まったから!





いつも通りの和やかな笑顔で話す蘇枋






あなたの下の名前もホッとする





あなた
よかった…こんなこと初めてだったからびっくりしちゃって…
蘇枋隼飛
何回もあっていいことじゃないよ
あなた
ふふ、それもそうだねっ!
蘇枋隼飛
じゃあ気を取り直して…屋台に戻ろうか
あなた
うんっ!






屋台に戻り、再度狙いを定める











3発目…









発射されたコルクはぬいぐるみの顎に当たり、その勢いで見事に後ろに落ちた











あなた
わっ!取れた?!
蘇枋隼飛
うん、そのようだね






屋台のおじさんは蘇枋に景品のぬいぐるみを手渡し、プロ顔負けの射的の腕前を褒めまくっていた








蘇枋隼飛
…はい、あなたの下の名前ちゃんにプレゼントするよ
あなた
いいの?ありがとう蘇枋っ!
蘇枋隼飛
喜んでもらえて俺も嬉しいな








満足気ににっこりと微笑む蘇枋








あなたの下の名前はぬいぐるみを抱きしめて嬉しそうにはしゃいでいる












夕飯時も過ぎて、娯楽屋台の通りも賑わい始めていた
人通りも多くなり、蘇枋はあなたの下の名前に手を差し出す









蘇枋隼飛
ほら、手を繋ごうか、また迷子になったら大変だからね
あなた
う、うん…っ







ぎこちなく手を繋いで通りを抜ける









蘇枋はあなたの下の名前が歩きやすいように手を繋いだまま前を歩く










神社の本殿前に差し掛かると人混みも少なくなり、辺りは先ほどより静かになった









誰も座っていないベンチを見つけて、そこまであなたの下の名前を誘導する








蘇枋隼飛
ちょっと休憩しようか……じゃああなたの下の名前ちゃん、俺の話聞いてくれるかな?
あなた
あ、そういえば約束してたね!なに、どんな話?








ベンチに座り、膝にぬいぐるみを座らせて蘇枋を見つめる










蘇枋はあなたの下の名前の前にしゃがみ、目線を合わせてあなたの下の名前の手に自分の手を重ねる









真剣な眼差しであなたの下の名前を見つめ返しながらそっと呟く








蘇枋隼飛
…俺ね、あなたの下の名前ちゃんの事好きなんだ















…next kiryu's case

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