⚠︎バトエン気味⚠︎
というか普通にバトエン。
担任の教師が満足げに目を細め、私の肩をポンと叩く。
手渡されたのは、放課後の会議で使う膨大な量の書類。
私はそれを持ち直し、訓練された「優等生」の笑顔を顔に浮かべた。
口の両端を数ミリずつ引き上げる。声のトーンは、落ち着いていて、かつ謙虚に。
いつからだろう、「優等生」の仮面をかぶるようになったのは。
最初は褒められたくてやってたのに。幸せだったのに。
今はもう、ただ苦痛でしかないや。
「真面目」「良い子」「優等生」
私はその言葉を聞くだけで胸が苦しくなる。
だって、私を縛り付けているのはその言葉なんだから。
「もう大丈夫」その言葉をずっと待っていた。
呪いから解放されたような気分になるはずだが、今日は全然ならない。
そして、誰もいない、夏の暑い日差しだけがさす教室に駆け込んだ。
心の奥に真っ黒なものがヘドロのようにへばりついている。
それを私は溜め込むだけで、出したりしない。いや、「できない」んだ。
誰かに心の奥底を見られるのが怖いだけ。
私は、とんだ臆病者なんだ。
もういっそ、すべて投げ出してしまえばーーー
なんて、これも馬鹿な空想だ。
学級委員長としてクラスをまとめろ、って言われても、
私にはまとめるようなリーダーシップ力も、ユーモアも、何もない。
教室の隅で、私をみてくすくす笑っているクラスメイト。
それを見ても、黙っている先生。
まるで、私の心を表してるみたい。
複雑で、でも単純な感情。
でも、もう別にどうでも良い。
ただそこだけを無駄に取り繕うのも、疲れた。
遠くの喋り声が聞こえてくる。
真面目。反射で、腕をギリギリと掴む。
いつから、こんな自傷行為と似たような行動をとるようになった?
なんで、私はこんな優等生のフリを未だに続けてるんだ?
もう、何にもわかんない。なーんにも。
また、口の端を数ミリあげる。
こんなの、社交辞令に過ぎない。私は「単なる社交辞令」でずっと苦しんでいるだけ。
そう思うと、胸が痛くなる。
考え事をしていたからか、声をかけられていることに気づかなかった。
急いで前を向き、「どうしたの」と、いかにも優等生が言いそうな言葉で反応する。
「わかった」と、答えられたら良かったのに。
このまま、委員長としての役割も、仮面も、全て捨てられれば良かったのに。
ああ、無駄だな。
返事ができずに、私はただニコニコしているだけ。
もう、何が私で、何が仮面なのかもわからない。
家のドアを開けて、「ただいま」という。
帰ってくるのは、静寂だけ。
そのまま部屋に入り、椅子に座る。
ふと、机の上に置いてあるペン立ての中に入っているカッターが目に入る。
それを手に取り、刃を数ミリ出す。
そのまま、手に当てて引くーーーー
それが、できたら楽なのにな。
また、憂鬱な1日が始まる。
今日は、誰かに何も言われないと良いな。
終わりです〜
私にしては長めですね











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!