もうゆうくんが何処にいるかももうわからない
それでも音がそこに居ると証明していて、それが僕を落ち着かせた
ストローを刺した冷たいココアと、湯気が立つ温かいココア
温かいココアを口に入れると、暖房越しの寒さが和らぐ
向かいに人が居る事も相待って、何だか懐かしかった
最近は、あまり思い出さない様にしていたのだろうか
ないちゃんと遊んだ事でさえも懐かしい気がした
ゆうくんの表情はよくわからない
それでも声を聞いて、優しく笑っているのがわかった
2階に居るゆうくんに向かって叫ぶ
何度か名前も呼んだけれど、返事は無かった
普段ならすぐに返って来るのだけれど
まだ早いけど、寝ているのだろうか
最後に叫んで風呂場へ向かう
肌の面積の半分以上、僕の体には花が咲いていた
風呂から上がっても返事は無くて、気になって部屋へ行ってみる
ゆうくんの体はもう殆ど見え無いから
嫌な予感は、しないと言えば嘘になる
ゆうくんのベッドに手を伸ばす
彼が寝ているなら、指先にちゃんと居るはずだ
風呂に入ったばかりだと言うのに、体が冷えていく様な感覚だった
腕だけでなく、彼のベッドに寝転んでみる
それでもゆうくんの存在は感じられなかった
嫌な予感が、巡って消えない
それはきっと真実なんだ
そんな気がして仕方なかった
だって、そんなに偶然が重なると思えない
少しして、ゆうくんのベッドから起き上がる
ふと窓の外を見上げてみたら
机の上に、何かが光って見えた
2回折られた紙を広げ、それを見る
宛先の名前すらないそれは、間違いなく彼が書いた物だった
本当に、消えてしまったんだな
1人きりになったと思うと、この家がやけに静かに思えた
心なしか花が咲いた肌も痛む気がする
僕はいつまで1人なのだろうか
自分で思った事を口に出す
全て諦めていたのも、1年以内の話なのにな
この家が、あまりに優しかったから
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。