バッと顔を見合わせてお互いの作ったものに
目を向けると、目の前にはふわふわのクマ型の
パンケーキが2つ。
片方にはキャベツ、ベーコン、ハム、チーズ、
卵など様々なご飯系なものが入ったパンケーキで、
片方にはアイス、ソース、ビスケット、
マシュマロ、ホイップクリームなど様々な
スイーツ系のものが入ったパンケーキ。
…どうやら、似たようなものを作ったらしい。
目をぱちくりさせ、また風楽さんの方を見ると
パチリと目が合って似たようにマヌケな顔を
している風楽さんに思わず、ぶはっと吹き出す。
そうなのだ。私達は毎日のように料理を
考えたり作ったりお店に見に行ったりしていた
のだが…一緒に居すぎたせいか作るものも
似てしまったらしい。
しかも考えも同じでお客さんの好きなように
入れるものをアレンジできるというシステム。
笑いが抑まらなくて、なんとか笑いを
抑えるとはぁっと息がこぼれる。
笑いすぎてでた目元の涙を拭って、
風楽さんの方を見ると小さく聞こえた声。
その声がうまく聞き取れなくて深呼吸をした後
言葉を聞き返そうとしたとき、風楽さんが
ガバっと顔を上げて……キラキラと眩しく
いつもより一段と輝いた目が視界に映った。
「センパイって笑うんだ!!え、なんか見れたの
初めてなんだけど嬉しい!!」
何を言うかと思いきや、そうよくわからないことで
初めてプレゼントを貰った子供のように喜ぶ
風楽さんにまた目を瞬くと、
いつものようにこちらを見た風楽さんとの
距離が思ったより近くて、バッと距離をおく。
初対面時のチャラ男感は意外と無かったし、
前よりは " 後輩として " 普通よりは上、だけど…
ニヤニヤしながらこちらの瞳を覗き込んでくる
風楽さんを見てるとなんだか苛立ってきて
「 別に好きじゃない 」と叫ぼうとしたとき。
―――バリバリバリドカーン!!!
叫んだ声がキッチン内に響き渡る。
どうやらずっと雨が降っていたのだがとうとう
雷が近くに落ちて、停電してしまったらしい。
暗闇の中、急にかけられた風楽さんの声に
思わず肩を跳ね上げてピョンっと飛び跳ねようと
すると私の場所がわかっているのかガシリと
手首を掴む風楽さん。
―――ドカーンっ!!!!
こわい、大きすぎる音にそんな情けない気持ちが
走ってしゃがみこんでしまったとき風楽さんが
私と同じようにしゃがみ込んだ気配がして、
恐る恐る目を開けると暗闇の中でも光る深い海の
ような瞳が鼻の先にあった。
え、と言葉が口からこぼれおちる。
だって、そうやって私をみつめる風楽さんの
顔が暗闇なのにハッキリ見えて、いつになく真剣で、
どこかカッコよく見えてしまったから。
……その熱にあてられてしまったのか
はくはくと震えて動くだけで声が出ない口に、
ぶわっとマグマくらい熱くなる体と顔に、
バクバクとうるさくなって収まらない心臓に、
どうか気づかないでと祈ることしか出来なかった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。