卵焼きをつまもうとした箸が宙を切る。
目の前の乙女は缶コーヒーを掴み、くるくると底を回す。と同時に、ちゃぽん、ちゃぽ、と音が漏れる。
他の乙女ちゃんだったらキャーキャー騒ぐような内容のカミングアウトをしたにも関わらず、当の本人は澄ました顔で窓から空を見やる。
恋バナのお決まり文句を一つ、落とす。
彼女は缶コーヒーを持ったまま両肘を机に付き、缶コーヒーを持っていない手で頬杖をつく。
外に向けられていた視線がストンと床に取りこぼされる。
いつのまにか缶コーヒーは察したかのように音を立てるのを辞めていた。
窓から流れ込んできた風が彼女の美しい色を持つ髪を靡かせる。
どう声をかければ良いか悩んでいると、
沈黙を破るような、大袈裟に彼女が口を開く。
カタン、と、缶コーヒーが机を叩く。
か弱く、そのまま溶けていきそうな声。
俯いているせいで、前髪が邪魔をして、
彼女が今どんな顔をしているのか見えない。
…きっと、貴女のことだから、
強がって微笑み浮かべてるんでしょ、?
靡く風が、夏の香りを運んで来た。
超短編で失礼しました、
Chkさんが片想いしている彼がUpさんだったら皮肉効いてていいなと書き終えて思ってしまった私は悪い奴です、












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!