男の子ver.
「そっか、またね。」
君は僕の目を見てそう言った
コーヒーを一口飲む
財布から2000円札を取り出して机の上にそっと置く
君は嫌がるだろうな、割り勘が好きだから
そんなことを思いながら店を後にした
しばらくすると雪が降ってきた
君は寒がりだからちゃんと暖かくするように言わなきゃな
なんてこれまでの僕なら思っていただろう
視界がぼやけて信号が滲む
あと何回冬を越せるだろう
もともと長生きできるとは思っていなかった
だけど君に出会って「生きたい」と思えた
手術を何回も繰り返し寿命を少しずつ伸ばしてきた
でも君と出会って2年半、
僕の命は残り1年だと宣告された
君は悲しむだろうから、泣くだろうから、内緒にしていた
まぁきっと僕が臆病だから言えなかっただけなのかもしれないが、
君と沢山の約束をかわした
海で遊んで夕日を見よう、海外旅行へ行こう、ライブではしゃごう
君が嬉しそうにそう話すたびに胸が締め付けられた
きっと君が想像してる未来と僕が想像する未来は違うから
今度また、次の人生で出会えたなら、
次こそは全部叶えよう、2人で
そしたら結婚して子供を生もう
顔がしわくちゃになっても沢山笑おう
全部2人で叶えよう、絶対
あなたは私がこの世に生きた証でした
ー完ー












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。