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第10話

番外編「 初めて怒った日 」
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2024/02/14 11:00
それは、ころんが小学生の頃。




キッチンの方がなにやら騒がしいな、と感じた矢先だった。

















ころん
あ、お父さん!












可愛い笑顔のころんの手に握られていたのは...、
















包丁、だった。










さとみ
おまっ....、どっから出した!?!?!?















無理矢理取り上げるわけにもいかず。












どうしたら安全に取り上げられるか、と考えていると、





















さとみ
っぶな、!!!!
















誤って、自分の指を切り付けようとしていたところだった。















包丁は無事、取り上げられ、俺の腕にはころんがいる。











さとみ
こんなん持ってたら危ないだろ!?







ころん
っ...、!!





びくっ、と体が反応する。















ころん
うっ...、、




目に涙を溜め、



ころん
うあぁぁっっっ゛




と泣き始めてしまった。



さとみ
えっ、あ、え!?


相手は幼い子供。


大声を聞いて、泣き出してしまうのは当然だった。




完っ全に俺の配慮不足...


ころん
ごぇんなさっ゛...


顔を真っ赤にし、小さな手で涙を拭った。


その動作が、なぜか愛らしくて。


子供が泣いて、親が幸せそうに慰めている気持ちが、なんとなくわかった気がした。


さとみ
いやっ、俺の方こそ、ごめんな...?


ころん
ぇえええっっっ゛....、、


さらに泣かせてしまう始末。






ころん
おとーさんっ...、忙しそうだったからっ...
ころん
お手伝い゛...っっ、、



さとみ
.....っっっ、、




今度はこっちが、泣いてしまう番だった。



さとみ
そっか、そっかぁ...
さとみ
ころんは偉いなぁ...



サラサラの髪の毛を崩さんばかりに、大きく撫でた。


さとみ
急に怒鳴ってごめんな...、、
さとみ
今度からは、俺に聞いてからお手伝いしてくれる、?




こくっっ!!と、大きく頷いた。


さとみ
よしっ、ころんは偉い子だから、もう泣かない!


今度はもっと大きな手で、涙を拭ってやった。


さとみ
俺と一緒に、ご飯作る?


ころん
うんっ!


溢れんばかりの笑顔で、頷いた。









俺は、世界一幸せなんじゃないか。


そう、初めて思った瞬間だった。













その後。


子供用の包丁を買ってあげた、さとみくんでした。






久しぶりの投稿が、番外編になってしまってごめんなさい🙇

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