いよいよ来てしまった当日。
既に心臓が跳ねており三日月宗近を拝みたい気持ちと、
場違いでないかどうかを心配する気持ちが闊歩している。
目立たぬようにそろそろと歩いてチケットを持って特別入口へと向かう。
穏やかだが何故か威厳のある警備員さんに思わず背筋が伸びる。
右手と右足が同時に出そうになるのを押えてぎこちなく歩く。
ロビーで五分ほど待っていると先程の警備員さんがいらっしゃる。
警備員さんの話を聞くに改めて閉館のチャイムがなるまでは好きに見て回っていていいようだ。
私はお言葉に甘えてお目当ての刀、三日月宗近を見に行くことにした。
カツ…カツ…と自分のヒールの音だけが響き渡る日本刀のブース。
足を進めると
小竜景光
獅子王
大包平
…その先に一際美しい刀が見える。
胸が高鳴る。
あぁ、
なぜか、
何故か懐かしい。
感嘆か、それとも別の何かか。
気づけば自然に声が漏れていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!