第22話

22話
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2025/09/30 15:06 更新
No side



紗夏
なぁ、ももりん…



昼休み、会社近くのカフェ。ひさびさに二人でゆっくり座れた紗夏は、カフェラテをかき混ぜながら切り出した。



もも
ん?なんや、さーたん。



ももはアイスコーヒーをすすりながら、目だけで続きを促す。




紗夏は少し声をひそめて言った。


紗夏
実はな……さなの“友達の友達”がな、同じ会社の子に片想いしてんねん



ももの手が止まる。



もも
え、ちょ、待って。うちの“友達の友達”もやで。同じ会社の子に、や。



紗夏
……



もも
……



二人は一瞬で顔を見合わせてニヤリ。



紗夏
まさか……同じ人ちゃうやんな?



紗夏が眉を上げる。



もも
いやぁ、それはわからんで?けどな、その“友達の友達”な、相手の名前出たら耳真っ赤なるんよ。



ももがストローをぐるぐる回す。



紗夏
うわぁ、それさなの“友達の友達”もや!ほんでな、最近なんかようぎこちないねん。話すときとか目ぇそらすし。



もも
一緒やん!……あ、でもな、こないだな。その“友達の友達”が言うててん。飲み会のあとにな、珍しく酔ってしまって好きな人に介抱して家まで送ってもらったらしいで



紗夏の顔がパッと明るくなる。



紗夏
ちょ、待って待って!さなの“友達の友達”もその話してた!!愛犬と間違われて抱きしめられたって!!!



もも
はぁぁ!?それ絶対同じ二人やろ!笑



ももは声を張り上げ、周りの客がチラッと振り返る。慌てて口を押さえながら吹き出す二人。



紗夏
なんやろなぁ……隠してるつもりなんやろけど、バレバレやであれ。



紗夏は首を振って笑う。



もも
せやなぁ。だって“友達の友達”、すぐ赤くなるし。ちょっとした一言でもオロオロするしな。
あと、鈍感すぎて気づいてなかったし…笑
 


紗夏
ほんまに!?鈍感すぎるなぁ〜。
うちの“友達の友達”も、相手の名前出すだけでソワソワすんねん。『あ、いや別に』とか言うて。



ふたりの声はどんどん弾んでいく。




ももがニヤリと笑って身を乗り出す。


もも
なぁ、さーたん。これ、もう名前出したほうが早ない?



紗夏
いやいや、あかんて。内緒や言われてんねん。…でも……



紗夏は口元を押さえながら、目だけで合図を送る。



もも
でも?



ももがにやにや。


紗夏
……あなたの下の名前のことやろ?



その瞬間、ももがバンッとテーブルを叩いた。
 

もも
そうそうそう!!うちも言いたかってん!!で、あなたの下の名前のこと好きなん、みーたんやろ!!



二人は声を抑えきれずに爆笑。



紗夏
やっぱり同じ情報握ってたんやな!



紗夏は涙目で笑いながら肩を揺らす。



もも
せやけど、あの二人アホやで。お互い隠してるつもりで、もう周りにダダ漏れやん!



ももはお腹を抱えて笑う。




少し落ち着いたところで、紗夏が肘をついて真顔っぽく言った。


紗夏
でもなぁ……あの二人、気持ちはガッツリ両想いやのに、全然進まんやん。見てるこっちがヤキモキするで。



もも
わかるわ〜。営業部と企画部で部署ちゃうから、休憩時間もなかなか合わへんし、あの2人新人ちゃんたちの教育係任されとるもんな。



ももがため息混じりに同意する。




紗夏が急にキラッと目を輝かせた。


紗夏
……なぁ、さならで仕掛けよか。



もも
仕掛ける?



紗夏
例えばやで?ランチ四人で集まるときに、わざとさなら二人で並んで座って、残りの二人を隣にするとか。






もも
おぉ〜!自然に二人っきりぽくなる作戦やな!ええやん!



紗夏
ふふん、ええやろー?あと仕事の資料、『この二人に任せよか〜』ってわざとペアにしてみたり。



もも
おぉ〜!ええな!ついでにカフェ誘うときも、『うちら先に行くから』って言うて、二人で来させるとか!



紗夏が手を打つ。


紗夏
完璧やん!



ももはにやにや。



もも
これは……成功間違いなしやな。笑



二人は視線を交わし、同時にニヤリ。



紗夏
よっしゃ、サナモモ大作戦や!



もも
名前ダサっ!笑



また笑いが止まらなくなり、隣の席から視線が飛んでくる。二人は慌てて口を押さえた。




帰り道。ももがぽつりと言った。


もも
でもさーたん、あの二人……うちらが仕掛けんでも、そのうち自爆してバレる気せぇへん?



紗夏
そうやなぁ…笑



紗夏は肩をすくめて笑う。



もも
まぁ、それまでのヤキモキを楽しむのが、うちらの役目やろ。



二人はクスクス笑いながら、会社に戻っていった。

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