第9話

山下り
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2025/11/21 07:00 更新
<冨岡side>
師匠せんせいは炭治郎がついて来れるようにいつもと比べて少し速度を落として走る。

いつも通り、足音もなく。

だが、それでも普通の人にしてみればとてつもない速さで、炭治郎と師匠せんせいの距離はどんどん開いて行った。

炭治郎は必死に両手足を動かして師匠せんせいについていこうとするが、元柱の師匠せんせいには到底追いつけるはずもなく。

師匠せんせいが家についたときにはもう、すっかり炭治郎はゴマ粒のように見える位置にいた。

師匠せんせいがそんな炭治郎を眺めながら待っていると、しばらくして炭治郎がやっとここまで辿り着いた。

俺達は現役の柱だから余裕でついて行くことが可能だが、まだ鬼殺隊の訓練も何もしていない少年がへばらずについて来られたのは凄い。
過去の竈門炭治郎
こッ、これで、、、っはぁ、認めても”ら”え”ま”し”た”か”ぁ”、ッ、?
鱗滝左近次
試練を行うのは、これからだ。
過去の竈門炭治郎
”え”ッッ!?
もう既に息を切らせてボロボロな炭治郎は、師匠せんせいの無慈悲な言葉に声を漏らす。

だが、それでも師匠せんせいは止まってくれるような人ではない。

そのままずんずんと山に、、、狭霧山の中に入っていった。

炭治郎は一日中走り回ってへろへろになりながらも、禰豆子が入った籠を置いて師匠せんせいの後について行った。

ずんずんと俺達もそんな2人を追いかけ、俺は懐かしい空気を吸い込む。

酸素の薄いこの空気は、狭霧山特有のものだ。

用がある時も文で済ませるため、しばらく帰ってきていないから、とても懐かしく感じられる。
鱗滝左近次
日が昇るまでに麓まで下りて来い。
今度は朝まで待たない。
師匠せんせいはそう言うと、ふっとその場から姿を消した。

いや、高速で移動しただけだが、炭治郎には姿を消したように見えるだろう。

炭治郎はやや困惑していたが、次の瞬間にニヤリと口角を上げ、辺りの匂いを嗅いだ。

恐らく炭治郎は、ただの山下りだと思っているのだろう。
不死川実弥
アイツは鼻が利くんじゃなかったかァ?濃霧だが迷わねぇだろォ。
ああ。師匠せんせいも知っている。
甘露寺蜜璃
あらっ?じゃあ簡単に帰れるんじゃないかしら?
俺はその言葉にあえて返事をせず、炭治郎に視線を戻す。

この時俺は、師匠せんせいには事前に、炭治郎のことを頼む文を出していたはずだ。

それを読んでいれば、師匠せんせいは炭治郎の鼻が利くことなど知っている。

それに、この訓練は俺だって嫌という程してきた。

炭治郎が、師匠せんせいの匂いを嗅ぎ取ったのか、走り出す。

その次の瞬間、何かに足を取られて転んだ。

そんな炭治郎に、どこかからか石の礫が飛んできて炭治郎の頬に当たる。

ビックリして後ろに下がった炭治郎は、今度は突然現れた落とし穴に嵌って落ちた。
胡蝶しのぶ
なるほど、罠が、、、
ああ。流石にまだ緩いな。
時透無一郎
緩い、、、、、、?
これができると知れば、師匠せんせいは段々と難易度を上げてくる。

落とし穴には針が用意され、飛んでくるのも石ではなく小刀、竹に弄ばれたこともあった。

そんな色々を経験しているが故に、俺はただただこの罠は「緩い」と言うしかなかった。

炭治郎は必死の顔で落とし穴から這い上がり、チラリと東の方の山を見る。

そして、集中するように目を閉じ、鼻をすんすんと鳴らした。

匂いで罠の位置を嗅ぎ取ったのか、上手い具合に罠の発動条件となる紐に引っかかずに下りる。

だがもちろん、身体能力が急激に良くなったわけではないので、避けられない罠もある。

罠という名の師匠せんせいにボコボコにされながらも何とか山を下った。

日が昇るその時、血塗れ泥塗れの炭治郎は師匠せんせいの家の玄関の扉を開いた。
過去の竈門炭治郎
も、、、、どり、、まし、た、、、ッ!
言うや否や、地面に倒れ込み、意識を失う。

そんな炭治郎を見て驚いたような反応を見せた師匠せんせいは立ち上がり、炭治郎に寄った。

そしてその頭を撫で、ボソリと言う。
鱗滝左近次
お前を認める、竈門炭治郎。
気絶している炭治郎にはその言葉は届かないはずだが、炭治郎の表情が少し和んだ。

視界が白くなる。

鍛錬のところはきっと、長いから飛ばされるだろう。

少しの間だけだったが、懐かしい思いができた。

炭治郎が鍛錬しているところをまだ見ていたい気持ちはあったが、俺は白くなる視界に任せて目を閉じた。
展開早すぎか?

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