🖤side
YouTubeの撮影が始まり、俺は阿部ちゃん、ラウール、舘さん、しょっぴーの5人のグループになった。
……先程から見た目は笑顔だが阿部ちゃんの目が笑ってない。恐らく佐久間くんが康二を指名したからだろう。俺も正直佐久間くんは阿部ちゃんって言うだろうと思っていたから驚いた。
当の本人はそんなこともつゆ知らず、楽しそうに撮影をしている。
「ドラマ班!」お決まりのセリフが決まったところで企画が始まった。
今回の企画は2人1組で2分間絵しりとりを行い最後に描いた絵を答え合わせし、当てた分だけ得点になるというチーム戦だ。俺らはその様子を部屋の隅に固まって見ていた。
ふっかさんがカメラにキメ顔をしたところで「よーいスタート!」とスタッフからの合図があった。
ガヤを飛ばしながら観戦している2人に目をやると、康二が佐久間くんにバックハグをしている。康二も佐久間くんも人との距離が近いのでよくある光景だ。
「よっしゃ!」と言って康二は佐久間くんを抱き上げ、お姫様抱っこをした。……なんか距離近すぎない?
顔?笑ってこちらを見ているしょっぴーにそう言われたがいまいちピンと来ない。
舘さんが指摘した阿部ちゃんの方に目をやると、明らかに不機嫌な様子で先程の笑顔すらもなくなっている。俺もこんな顔して見てたのか?
そう言いながらふっかさんが振り返ると、先程までずっと佐久間くんにくっついていた康二がすっと離れる。
いつものふっかさんイジりも決まり、2人は再びホワイトボードの方に向いて続きを描き始めた。
佐久間くんは聞こえるかどうかギリギリの声量で康二にそう言い、顎を触った。
いや、今のもはや顎クイじゃん。康二もなんでそんな嬉しそうな顔してるの。
面白半分といった顔でしょっぴーがこちらを見てくる。
ていうか何て言った?……嫉妬?
…確かに今までなら康二が他のメンバーと距離が近いことをこんなに気にすることはなかった。
「終了でーす!」
俺の頭がパンクしたと同時に終了の合図が響いた。
答え合わせをし、結果は2分で8個だった。
不敵な笑みを浮かべる康二とセリフ口調の佐久間くんがゆっくりと歩いて前に出てきた。
企画中1度も話さなかった阿部ちゃんがポツリと呟いた。俺は全く分からずに周りの反応を窺う。
康二は佐久間くんの頬を触りながら見たことのある小芝居を始めた。
…理解が追いつかない。企画中にバックハグしてたり抱っこしたり顎クイしてたのは、裏企画的なやつだったってことか?
しょっぴーはずっと俺の顔と反応見て笑ってるし、阿部ちゃんは「さすがに反省だね」と言って俺の肩を叩いてるし、舘さんは全てを察しているかのような顔をしているし、ラウールはなんかむくれてるし…。
この感情が何か分からないまま企画は終了した。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。