naiko side
かつり、かつりと。
人気のない街に、俺の靴音だけが響く。
此処が__奇病アパート。
奇病アパート…端的に言うと奇病者達の収容所。
この世界には、不気味な『奇病』が蔓延っている。
その病気に罹った人は、敬遠され、差別され、、、
「人間じゃない」と心無い言葉を投げつけられているのが現状だ。
俺_ないこには、昔“りうら”という親友が居た。
それはもうめちゃくちゃカッコ可愛くて、
いっつも目を♡にして迫っていたっけ。
そんな彼は、数年前_奇病に罹った。
ラテックス手袋をした大人に担がれながら、
涙目で「助けてッ_!!」って叫んだあの表情と
それに応えられなかった自分の不甲斐なさが
…今も忘れられない。
だから、俺は医者になった。
ひたすら勉強して、同時進行で奇病について学んで。俺の人生の中で1番努力したのが此処だと思う。
全ては治療法が見つかっていない奇病を治すため。
そして、この差別社会を変えるため__
準備は整った。トランクに医療機器を詰めて、
俺は今、奇病アパートの前に立っている。
深呼吸をして前を見据えた。
息を呑む様な音が聞こえてきて、思わず振り返る。
背の高い青年が、真顔のままそこに突っ立っていた。
真顔なのに声は驚いた様な感じで…もしや奇病か?
声を荒らげた彼に、
俺はトランクを置いて軽く頭を下げた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。