グゥ〜…
お腹空いたなあ。
そうだ、久しぶりにまんぷく屋にでも行こうっと!誰か誘いたいけど今、スタジオにいるのは俺以外に1人だけ。
そう、虫さんだ!
編集を一旦辞めて、ベッドから降りてリビングに居る虫さんのもとへ向かう。
て「虫さ~~~ん」
虫「どうしたの?てっちゃん。」
て「今、お昼の何時??」
虫「えーっと、1時…だけど?なに、お腹空いたの?」
て「さっすが〜。察しが早いねぇ」
虫「だって、てつやが部屋から出てくるのってだいたいお腹空いてる時だもん。この妖怪食い意地小僧め。」
て「妖怪食い意地小僧…!?俺、小僧じゃないし!」
虫(ツッこむ所そこじゃないでしょ。そういう所が子供っぽいんだよなぁ〜笑)
て「ハッ…!そんな事はどうでもいいんだよー!俺、まんぷく屋に行きたいんだけど虫さんも行こうよー」
虫「ごめん、昨日行ったからやめとくわ」
て「えぇー!?なんで昨日行くの…!?俺、1人で食べるの寂しいよー!虫さんも行こうよ、ね??」
虫さんの顔を覗き込むようにして甘えた声で言う
虫さんにお願いする時は、こうすると効果的だ。なんでか分かんないけど。
虫「………ハッ!ダメったらダメだ!悪いけど、まんぷく屋は2週間に1回までって決めてるんだよー!あんなにこってりしたラーメンを2日連続で食べるなんて痛風まっしぐらだよ」
て「大袈裟だなぁー。痛風なんかならないって!行こうよ!今日だけだから〜。お願い〜!」
虫「…もう、仕方ないなぁー。そこまで言うんだったら僕も行くよ」
て「やった!財布と車のカギ取ってくる!」
虫「ほんとに、てつやはずるいなぁ…。あんな可愛いおねだりされたら断れるわけないじゃん…。」
マックブックを閉じてため息をついた。
~その頃てつやは~
て「ま〜んぷ〜く屋〜!♪虫さんとぉー!まんぷく屋だー!!♪♪」
悩んでいる虫眼鏡の事なんかも知らずに、ノリノリで準備をしていたのであった。
【おわり】
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。