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第3話

期待
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2026/03/03 10:21 更新







電車が揺れる。
吊り革を握る手に少し力が入る。
目の前にハオがいる。
それだけで、妙に落ち着かなかった。




zh「仕事帰り?」



hb「……うん」



zh「大変そうだね」



hb「まあ普通」




会話は普通だった。
昔の知り合いと偶然会っただけ。
それだけのはずなのに、変に意識してしまう。




hb「……」



視線を向けそうになって、やめる。
顔を見ると、どうしても思い出す。
あの夢。




zh「ねえ」



hb「……なに」




顔を上げる。
思ったより近かった。




hb「……」




少し距離を詰められていた。
いつの間にか、電車の揺れのせいじゃないくらい近い。




zh「久しぶりなのにさ、全然目合わせてくれない」



hb「……別に」



zh「避けてる?」



hb「避けてない」




すぐ答えたのに、少し間があいた。
ハオがじっと見てくる。




zh「変わったね」



hb「……どっちが」



zh「ハンビン」



hb「そうか?」



zh「うん」




少しだけ首を傾げる。
昔と同じ仕草だった。
なのに、妙に落ち着かない。




zh「なんか考えてる顔してる」



hb「してない」



zh「してるよ」



hb「してないって」




少しだけ笑われる。
その瞬間、胸の奥がざわつく。
浮かぶ。
夢の中の顔。
振り向いた時の目。




zh「ねえ」



hb「……なに」



zh「本当に久しぶりだよね」



hb「……だな」



zh「最後いつ会ったっけ」



hb「覚えてない」



zh「そっか」



少し沈黙が落ちる。
電車が揺れる。
肩が軽く触れた。




hb「……っ」




一瞬だけ息が止まる。




zh「ごめん」



hb「……別に」




離れるかと思ったのに。
離れない。
近い。
近すぎる。
なのに嫌じゃなかった。




hb「……」




むしろ少し落ち着く。
自分でも分かる。




hb「……最悪」



zh「なにが?」



hb「なんでもない」




ハオが少し覗き込む。




zh「顔赤いよ」



hb「赤くない 」



zh「赤いって」



hb「うるさい」




また少し笑う。
その笑い方も変わってなかった。




zh「ねえ」



hb「なに」



zh「連絡先交換しない?」



hb「……え」




一瞬止まる。




zh「せっかく会ったし」



hb「……」




迷う理由なんてないはずなのに。
少しだけ考える。



hb「……」




また浮かぶ。
夢の光景。
静かに立ってるハオ。




hb「……いいよ」




言ってから、少し後悔する。




zh「ほんと?」



hb「うん」



zh「やった」




スマホを取り出す。
距離がまた近くなる。



hb「……」




画面を打つ指のすぐ横に、ハオの手がある。
思ってしまう。
もし、またあの顔を見たら。




zh「できた?」



hb「……ああ」




スマホを戻す。
その時、電車が止まるアナウンスが流れた。




zh「あ、俺ここ」



hb「……そう」



zh「じゃあね」



hb「……ああ」




ドアが開く。
降りる直前。
ハオが振り向いた。




zh「またね」



hb「……」




ドアが閉まる。
電車が動く。




hb「……」




残ったのは、さっきまでいた距離感だけだった。




hb「……ほんと最悪」




ポケットの中のスマホが重い。

もう分かってた。
また会う気がする、そして多分。




hb「……期待してるし、




小さく呟いた。







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