あなたの下の名前side.
あぁー。休みたい。
今すぐ帰って、ふかふかのベッドで、
お気に入りのパジャマとあったかい部屋で…
『あなたの名字さんすみません、
今お時間よろしいでしょうか?』
『あっ、あの、午前中の報告を…』
『はい!』
私の後ろから声をかけてきた子は、
昨日からここの病棟へ来た実習生さん。
大学病院ということもあって、
付属大学から毎年実習生がやって来るのだ。
私も当然昔はその1人だったわけで。
なんだか懐かしい思いにかられながら、
当時とはリボンの形が変わったユニフォームを見つめた。
手に持っていた経管栄養の紙パックを
溢れないように気をつけながらハサミで切る。
新人の頃はよく溢して怒られていたっけ。
後ろから「貸し1な〜」なんて聞こえてきた気がするけど
私は何も知りません。笑
『あっ、すみません!よろしくお願いします。
〇〇さんを受け持たせていただいております、
学生の△△と申します……』
一生懸命に悩みながら話す姿は、
どこか自分たちのあの頃を思い出すようで
少し気恥ずかしくなった。
私は学生当時、
看護師から散々嫌な思いをさせられたので、
自分は優しくありたいと思うのだ。
もちろん指導はするけど!
報告を聞きながら立っていると、
さっきまで誤魔化していた頭痛が顔を出した。
本日絶賛雨模様。
わたくし、朝から偏頭痛にやられております。
脈を打つような痛みが苦しい。
心臓の鼓動と一緒に痛くなるから、
それを感じるとなんだか気持ち悪くなってくる。
『それで…バイタルは…って、
バイタルはカルテに記録されますよね?』
『あの…あなたの名字さん?』
危ない、危ない。
完全に意識がどこかにいっていた。
まとまらない頭で、
ひとまずカルテ立ち上げて…。
全く視界が定まらない中で
パソコンのナンバーキーに触れようとすると、
『あっ、はい!よろしくお願いします!』
なんで康二くんが?
なんで目黒くんが???呼んでる??
こんな頭では訳もわからず、
やっとの思いでナースステーションに向かう。
大きな手で左手首を優しく掴まれて、
なぜかカンファレンスルームへ。
お久しぶりです。桜です。
随分と時間を空けてしまい申し訳ありません🙇♀️
駄作で恐縮ですが、ぜひ…!













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!