購買—————
昼休みということで購買には人が溢れかえっていた。昼食を求めてやってくる生徒の顔は、いえもんにはほぼ全員薄くモヤがかかって見える。
いえもんは昔から人混みが苦手だった。薄黒く見える人々の顔を見るたび、"死"というものを意識させられる。そそくさと購買を抜け、購買前の廊下で壁にもたれかかりルカの帰りを待った。
ボーッと購買の方を眺めていると、突然横から声をかけられた。
ヒナはルカの妹だ。ルカのシスコン具合にはヒナもいえもんも引き気味ではあるが、全員が中学から関わりがあるのでこうして会ったら話すくらいの仲だった。
いえもんはパンを受け取り、パンの袋を開ける。2人でパンをかじりながら、また教室へと向かった。
教室—————————-
2人はいえもんの席で課題を始めた。
5限目が始まった。
なぜこんな簡単なことを忘れていたのか自分でもわからない。今、隣に座っているめめんともりが死ぬ理由。それは病気の可能性だってあるということだ。なぜかは分からないがその可能性が高い、いや、ほぼ100%だと確信している。本人に聞いてもいないのにそう分かる理由は、自分にも分からない。また、その可能性があることも忘れていた、という点も引っかかる。まるで自分が、元から彼女が病気で死ぬと分かっていて、それを信じたく無いと言っているようだ。
こんな力を持っている自分が言うのもなんだが、SFのようなものは信じていない。そんなものがあるのならば、人間誰1人として不幸では無いだろう。
まだめめんともりのことが頭から離れず、何か引っ掛かっている要素を探そうにもそれを邪魔するかのような眠気に襲われ、いえもんは机の上で眠りについた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!