第2話

─ 壱 ¸
331
2025/04/13 15:25 更新



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─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
じゃあ、そろそろ始めようか


みんながナイトコードの通話に入ってきて、共通のカレンダー兼メモアプリを開く。

今日みたいな月の初めには、その月の予定をナイトコードでみんなで伝え合うのが4人の決まりなのだ。

オレの机には、脚本作りに関する本や演技に関する攻略本、エッセイ本が並んでいる。

みんなを待っている時間や暇な時間、寝る前などには常に予習として読んでいるのだ。

─ 鳳 えむ ¸
─ 鳳 えむ ¸
今日は今月の予定確認だよね!
─ 草薙 寧々 ¸
─ 草薙 寧々 ¸
そうだね、大まかでいいから大体の予定は今日中に共有しちゃいたいな。
─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
じゃあ僕は少し工具を持ってくるよ。
僕に用事等は特にないからロボットのメンテナンスをしながら話を聞いているね。
─ 草薙 寧々 ¸
─ 草薙 寧々 ¸
分かった。でもあんま集中しすぎないようにね?
─ 鳳 えむ ¸
─ 鳳 えむ ¸
類くんいつもロボットさんいじってるとき、「むむむ~」って顔して反応無くなっちゃうからね!
─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
ふふっ、肝に銘じておくよ。


各自で準備をする。

まだ約束の10分前なのに、もうみんな輝いている。

オレは読んでいた攻略本を閉じ、パソコンの画面の方を向いた。



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ある程度今月の予定が決まり、次の練習日の内容について話していたところ、オレはとあることに気がついた。

─ 天馬 司 ¸
─ 天馬 司 ¸
(あれ、これオレの予定あってるか?)


オレは、急いで自分の部屋のカレンダーを確認した。

そこで、オレはとあることに気づいた。

オレがみんなに伝えた予定がズレていたのだ、しかも1ヶ月。

つまりオレは、来月の予定を間違えてみんなに伝えてしまっていた、ということ。

しかし今、3人は練習についてでとても盛り上がっている。

オレは3人に迷惑をかけたくなくて、とても言い出すことが出来なかった。

─ 天馬 司 ¸
─ 天馬 司 ¸
(オレは、本当に何も出来ないな…)


オレはマイクを切り、ふぅーっ と息を吐く。

そして少し気持ちを落ち着けたあと、机の引き出しからカッターを取りだし腕を傷つける。

辺りに鉄の匂いが立ち込め、腕は当たり前だが負傷した。





オレがオレ自身を責めていたとき、

─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
おや、司くん?


みんながオレを呼んでいた。

オレは、マイクをONにしてみんなの元へ戻った。

─ 天馬 司 ¸
─ 天馬 司 ¸
む、すまん。どうかしたか?
─ 草薙 寧々 ¸
─ 草薙 寧々 ¸
いや、マイクがOFFになってたから…
─ 鳳 えむ ¸
─ 鳳 えむ ¸
とりあえず、今月の予定と次の練習内容はこのカレンダーの通りでいいかな?!
─ 天馬 司 ¸
─ 天馬 司 ¸
あ…ああ、!も、問題ないぞ!
─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
じゃあ今日のところはこれで解散かな?
─ 鳳 えむ ¸
─ 鳳 えむ ¸
はーい!じゃあみんな、また明日ね!!
─ 草薙 寧々 ¸
─ 草薙 寧々 ¸
うん、またね。
─ 神代 類 ¸
─ 神代 類 ¸
ふふ、それじゃあ。
─ 天馬 司 ¸
─ 天馬 司 ¸
ッ、そ、そうだな!じゃあ、また明日に会うとしよう!


オレは、震えていた。

予定のことどうしようかと。

本当は、正直に言わなくちゃいけないはずなんだ。

でも、なぜだか声が出なかった。

みんなが次々と通話部屋を抜けていった。


オレは、何も言えなかった。


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雨の音が鳴り響く深夜。

オレはベッドに横たわっていた。

少し腕を切りすぎたからか、気持ち悪い。


オレの部屋には、赤く染った包帯が散らばっている。

机には、カッターや薬もある。

薬は、昔使っていた。

だが今はたくさん飲むのが辛くなってきたからなのか、自然と飲まなくなってきたが。


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暗い部屋がだんだん明るくなってくるのが分かった。

おそらく、日が登り始めたのだろう。

スマホからはメッセージの通知が今も鳴り響いていて、震えることしか出来ない。

でも、やっぱりみんなにしっかり謝罪をしないといけないと思った。

グループLINEを開こうと思い、スマホを手に取った。

みんなに伝えなきゃ。

でも、その時、


アンチからの通知が目に入った。


オレは、また何かを失った気がした。

手からスマホがストンっと落ちた。

目の前には、赤くなったカッターがある。


オレは、本当にダメなやつだな。


カッターを強く握り締め、腕を切る。

血がぼたぼた、いや、どろどろと溢れてくる。






オレなんか、生きてちゃいけないんだ。


オレなんか、死んだ方がいいんだって。













こんな思いをしたのは、いつぶりだろうか。














こんなにも追い詰められたのは、一体いつ以来だっただろうか。





















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