第49話

トモダチ 𝒩𝑜.11
132
2023/04/28 06:19 更新
痛む左足を少しだけ引き摺って,屋上の階段を一歩一歩降りた。
綾瀬花日
綾瀬花日
結衣ちゃん・・・・・・
六年二組の扉を開けると,教室に残っていたエイコー達が振り返る。見回したけど,結衣ちゃんはいない。
トモヤ
トモヤ
蒼井なら,さっき帰ったぞー
トモヤが教えてくれる。
桃井さつき
桃井さつき
花日,頑張って!
蒼井蓮華
蒼井蓮華
しっかり話し合って,結衣と仲直りしてまた明日。花日の笑顔見せてよ。今日,花日も結衣も笑ってなくて私,寂しかった。花日ならいけるよ。ね?
赤司征十郎
赤司征十郎
嗚呼
黒子テツヤ
黒子テツヤ
はい
青峰大輝
青峰大輝
行ってこい
緑間真太郎
緑間真太郎
行け。花日
お姉ちゃん達に,応援される。ランドセルを手にして,私は教室を飛び出した。
五年生の春。図工の時間。
綾瀬花日
綾瀬花日
できたーーーー!!
蒼井結衣
蒼井結衣
私も!
私と結衣ちゃんは完成した「友達の絵」を見せ合っていた。
綾瀬花日
綾瀬花日
わぁー,結衣ちゃんすごーい・・・・・・
ツインテールの似顔絵はパステルカラーで纏められていて,本物の私よりずっと可愛く描かれていた。水彩絵の具で色を塗るのが好きと言うだけあって,結衣ちゃんの絵はクラスで一番上手だった。私がうっとり画用紙を眺めていると,それを男子が横からさっと取り上げた。
男
全然似てねーじゃん!これの何処が綾瀬だよ?
綾瀬花日
綾瀬花日
ちょっと辞めてよ!返して!
絵を取り戻そうとして,私は相手の腕を引っ張った。するとバランスを崩してコケそうになったその子は,自分の腕ごと私を振り回した。次の瞬間。私がつかんでいた手の間から,ふっと男の子の腕が抜けた。
男
なんだよ,こいつ・・・・・・!
綾瀬花日
綾瀬花日
・・・・・・っ!
怒りに任せて私に向けて振り下ろそうとしていた手を,結衣ちゃんが横からつかんだ。
蒼井結衣
蒼井結衣
あんた今,女の子を叩こうとした!?
何時も笑顔の結衣ちゃんが,その時だけは凄く恐い顔で男子を睨む。
蒼井結衣
蒼井結衣
私の友達に手を出したら,承知しないんだからね!!
男
な,なんだよっ!バカじゃねーの!?
結衣ちゃんの迫力に圧されて,男の子は捨て台詞を吐いて逃げていった。
あの時・・・・・・。友達って言ってくれたの,本当に・・・・・・本当に嬉しかった。
結衣ちゃんを追いかけて通学路を歩いていると,何時も渡る橋が見えてきた。
???
蒼井さぁん,無視しないでよォ〜!
橋の真ん中を少し過ぎたあたりで,結衣ちゃんを呼ぶ声が聞こえた。慌てて橋から河原の方を見下ろすと,女の子達が話し込んでいるのが見える。
綾瀬花日
綾瀬花日
結衣ちゃんと・・・・・・誰だろ,他の学校の子・・・・・・?
ひとりの女の子に,結衣ちゃんが肩をドンと押されて倒れた。
綾瀬花日
綾瀬花日
!どういう事・・・・・・?
橋から回り込んだ私が河原に下りた時,結衣ちゃんは服についた泥汚れを払い落として,黙って立ち上がるところだった。
綾瀬花日
綾瀬花日
結衣ちゃん!!
女の子達の後ろから呼ぶと,結衣ちゃんの目が真ん丸に見開かれた。
蒼井結衣
蒼井結衣
花日・・・・・・!?
振り返った女の子達が,私をじろっと見る。
女
誰,あんた?
え,私?えーと,そのー・・・・・・私は・・・・・・。
綾瀬花日
綾瀬花日
結衣ちゃんの友達!
あ。でもでも,
綾瀬花日
綾瀬花日
・・・・・・だったんだけど・・・・・・今,ビミョーな関係で・・・・・・
もじもじしたら,女の子達は「はぁ?」と変な顔をした。
女
うちら,この子とピアノ教室で一緒だったんだよね
綾瀬花日
綾瀬花日
あ。結衣ちゃんが勉強したいからって,辞めたとこ・・・・・・?
私が言うと,三人はげらげらと笑い出した。
女
なぁに,蒼井さ〜ん?そういう事になってんのぉ?/ウソばっか!
キツイ言葉にも,結衣ちゃんは何も言わない。
女
本当は,うちらにハブられて辞めたのにね!
綾瀬花日
綾瀬花日
え・・・・・・?
びっくりして結衣ちゃんを見ると,泣きそうな顔で俯いている。

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