第13話

新しいスタイルの拷問
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2024/06/20 09:43
主人公 side


ジュノンが帰ったあと、
一日中スマホを見ていなかったことに気づき
開いてみると、
ソウタから大量のメッセージと、数件の着信履歴が残っていた。
SOTA
"スタッフさんにきーた。大丈夫?"
から始まり、

最後のメッセージは
SOTA
"生きてる?!"
だった。

いや、勝手に殺さないでよ…とツッコミつつ、
焦る顔が頭に浮かんで、少し笑える。

てゆうか、ソウタに伝染ってなくて良かった…。

正直、……ちょっとめんどくさいけども、
心配かけたみたいだし、だいぶ体調も良いし
折り返しかけてみようかな。

そう思い、電話をかけてみると
ワンコールも鳴り終わらない内に、
SOTA
もしもし?!あなた?!
あなた
っ、ちょっと…声でかい…
SOTA
ぁ、ごめん…つか、良かった…!
まじ死んでんのかと思った、
あなた
死なないって、こんくらいで…
一日寝てただけ。
SOTA
そっか……良かった……
安心したようなソウタの声に、
少しだけ芽生える罪悪感。

……まぁ、うん、"ほとんど"寝てたし。
嘘ではない……よね、うん。

今日のこと、誰にも言わないように
あとでジュノンにもクギ刺しておこう…。
SOTA
お見舞い行けなくて、ごめんな
あなた
はぁ?何言ってんの、来ちゃダメに決まってんじゃん
SOTA
や、正しくはメンバー全員で行こうとしたらスタッフさんにめっちゃ怒られたんだけど……
あなた
、揃いも揃ってなんて恐ろしいことしようとしてんの……
彼らが私のことを、それだけ心配してくれた気持ちはとても嬉しい。
だけど、彼らは表に立つ人間で、私は裏側の人間。

例え、私がいなくなったってどうとでもなるけれど、
彼らがいなくなってしまうことだけは、あってはならない。

怒って止めてくれたスタッフさん、ありがとう…。

心の中で思いつつ、不本意とはいえ改めて
ジュノンあの子に看病をさせてしまった自分を、心底情けなく思う。
あなた
私なんかよりも、みんなの体調のほうが100倍大事なんだから。………ソウタはほんとに元気なんだよね?
SOTA
めっちゃ元気だよ。
……昨日あんなことしたし、伝染ってるかなーと思ったけど……
"あんなこと"

ソウタの言葉に、思わず言葉が詰まってしまう。

そうだ……私、昨日、
一瞬 自分の意思で、ソウタと一線を越えてしまいそうだった。

ジュノンとだって、熱でぼーっとしてたとはいえ、
……流されそうだったし……

所属アーティストに手を出すなんてこと、
あってはならないのに……
あなた
……私って、ほんとに……
SOTA
え?なに?
あなた
、いや……己の未熟さを恨んでるだけ
SOTA
んん?笑
いくら彼らが魅力的だからといって、
そんなのは言い訳にならないし
これからもっと……気を引き締めないと。
SOTA
……っつか、さ、あなた……
あなた
、ん?
SOTA
……昨日は……勝手に暴走して、ごめん
あなた
、え、
突然、真剣なトーンで
そんなこと言い出すもんだから
なんだかこちらも改めて、気恥ずかしくなってしまう。
あなた
…いや、なんていうかその……//うん、私も一瞬アレだったしね、うん……ちょっとお互い、前回同様今回も無かったことに……
SOTA
………それは無理。
あなた
、へ?
恥ずかしいながらも、一生懸命した提案を
一刀両断されて

拍子抜けした声を出した私に、ソウタは言葉を続ける。
SOTA
俺は覚えてる。
あの時のあなたの表情も、声も、
…体温も。
酒のせいじゃなくて、自分の意思で、
初めてお前に触れたから。
あなた
………ソウタ………?
……あぁ、まただ。

私が知ってる、ソウタじゃない。

音楽以外のことを、こんなに真剣に話すソウタの声は、……知らない。
SOTA
だからお前も、昨日のこと覚えててほしい。
……いい加減な気持ちで、触れたわけじゃねーって
これから証明してくから。
………それは、どういう意味………?

問いかけたいけれど、
そこから先は、踏み込んではいけないような気がして。

黙り込んでいると、ソウタはいつもの明るい声で
SOTA
風邪の時にごめんな!
……とりあえず、今は早く治せよ。
早く会いてーから
あなた
、え、ぁ……うん、
SOTA
じゃ、おやすみ!
そんなありきたりな一言で、切られた電話。

熱のせいで、ただでさえ高い体温が
やたらと早く動く心臓のせいで
より上がっていくような気がする。

…………所属アーティストに手を出しちゃいけない、
彼らは私たちの"宝物"だから。

表に立つ彼らと、裏側の私、では
立場が違う。

そんなことは、じゅうぶん理解しているけど

………こんなん、
ときめくなって方が、無理じゃない……?
あなた
………なんなの……この新しいスタイルの拷問………//
誰も居ない部屋で、呟きながら

冷えピタを貼ったままの頭を抱えた。







他の長編は、なんとなく話の流れからラストまで
決まってたりするんですけど

こっちの長編は、あんまり深く考えてなくて
ただただ自分がときめきたいがために書いてるんですが、
自然とソウタくんの攻め方がグイグイになりますね()

(ちなみに、この長編はラストがどうなるかも全く決まってません☆←)



お読み頂き、ありがとうございました。
また次回もお時間ありましたら、ぜひ…。




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