第4話

突然
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2026/05/07 16:13 更新
風雅の家を出ると、夜風が少しひんやりしてた。

あなた「うわ、夜なると寒いなぁ」

大我「昼めっちゃあったかかったのにな」

風雅「お前ら薄着やねん」

3人並んで歩く、いつもの帰り道。

さっきまで笑ってた空気のまま、ゆっくり住宅街を進んでいく。

そのとき。

「風雅ー!」

後ろから大きい声。

振り返ると、サッカー部っぽい男子が手振って走ってきてた。

友達「お前明日の練習試合の紙、まだ出してへんやろ!」

風雅「……あ」

友達「先生探しとったで」

風雅「うわ、だる」

あなた「忘れてたん?」

風雅「完全に忘れとった」

友達「今から職員室来いって!」

風雅「マジかぁ……」

めっちゃ嫌そうな顔。

思わず笑ってしまう。

あなた「いってきたら?」

風雅「しゃーないやろ……」

そう言って頭をぐしゃっとかく。

風雅「悪い、先帰っとって」

あなた「え、大丈夫?」

風雅「すぐ終わるし」

大我「兄ちゃん、また忘れたん?」

風雅「うるさい」

友達「はよ行くぞー!」

風雅「はいはい」

少し面倒そうに歩き出して、途中でふと振り返る。

風雅「……あなた」

あなた「ん?」

風雅「ちゃんと帰れよ」

あなた「子供ちゃうって!」

風雅「……まぁええわ」

小さく笑って、そのまま友達と学校の方へ戻っていった。

⸻

静かになる帰り道。

さっきまで3人やったのに、急に少し広く感じる。

あなた「風雅ってたまに抜けてるよな」

大我「兄ちゃん昔からそうやで」

あなた「たいがの方がしっかりしてるかも」

大我「え、ほんま?」

嬉しそうに笑う。

大我「あなたに褒められるん、なんか嬉しいわ」

あなた「なにそれ」

思わず笑うと、大我も照れたみたいに笑った。

少し沈黙。

街灯の光だけが、静かに道を照らしてる。

大我「……なぁ」

あなた「ん?」

大我「今日さ」

少しだけ視線を下げる。

大我「高校でもあなたといっぱい話せて、めっちゃ嬉しかった」

あなた「え、今までも毎日話してたやん」

大我「まぁそうやねんけど」

少し笑う。

大我「中学のときとはまたちょっと違う感じする」

あなた「……あー、わかるかも」

制服変わっただけやのに、不思議な感じ。

大我「あなた、学校でもめっちゃ人気やったな」

あなた「え?」

大我「男子めっちゃ話しかけとった」

あなた「普通やって」

大我「普通ちゃう」

少しだけ真面目な声。

あなた「え?」

大我「……いや」

すぐ目を逸らす。

大我「なんでもない」

その横顔が、ちょっとだけ赤い。

あなた「たいが?」

大我「あなたって昔からかわいいし」

あなた「はぁ!?」

思わず変な声出る。

大我「な、なんでそんなびっくりすんの!」

あなた「いや急に言うからやん!」

大我「ほんまのことやし……」

ぼそっと呟く。

その瞬間、変に心臓が跳ねた。

あなた「……たいが、今日なんか変」

大我「えっ」

あなた「なんか素直すぎへん?」

大我「そ、そう?」

明らかに焦ってる。

あなた「熱でもある?」

大我「ないし!」

思わず笑ってしまう。

でも。

なんか今日の大我、ちょっとだけ違う。

背も伸びて、声も前より低くなって。

昔みたいに“弟っぽい”だけじゃない感じ。

そんなこと考えてしまって、私は慌てて前を向いた。

あなた「……あ、うちもうすぐや」

大我「送る」

あなた「え?」

大我「家まで送るわ」

あなた「いや近いで?」

大我「でも夜やし」

あなた「大丈夫やって」

大我「……俺が送りたいねん」

一瞬、言葉が止まる。

街灯の下で見る大我の顔は、少し照れてるのに、ちゃんと真剣で。

あなた「……じゃあお願いしよかな」

大我「うん」

ぱっと嬉しそうに笑う。

その顔が、なんかずるかった。

⸻

その頃。

職員室前。

風雅「……はぁ」

紙を提出しながら、小さくため息をつく。

友達「お前さっき彼女?」

風雅「は?」

友達「一緒おった子」

風雅「……幼なじみ」

友達「ふーん」

ニヤニヤ笑われる。

風雅「きもい笑い方すんな」

友達「でもめっちゃ仲良さそうやったやん」

風雅「まぁ……昔からやし」

そう答えながら、

ふと頭に浮かぶ。

——並んで歩いてた、あなたと大我。

風雅「……ちゃんと帰っとるやろか」

小さく呟いた声は、

夜の廊下に静かに消えていった。

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