_きんとき_
ただいま〜
一人暮らしだから、もちろん返事は無い
さっきまで騒がしかったから
いつもは当たり前の静寂が少し寂しく感じる。
さっきまで豪華な家具に囲まれていたから、尚更自分の部屋に虚無を感じる
カチ、カチ…と途切れることの無い時計の音
もう8時か…
Nakamuを家まで送ってたから、遅くなってしまった
幸い、理科の課題は終わっている
スマイルに教えてもらったから早く終わった
明日、お礼を言おう
_きんとき_
お風呂…入るか
全身を洗ったあと、ゆっくり湯船に浸かる。
_きんとき_
緊張した…
想像よりもNakamuの顔が近くて
彼の体温をそのまま感じて
慣れないことをしたからだ
お姫様抱っこなんて今思えば自分でも驚いてしまう
即興の思いつきで、深く考えず起こした行動は何かしらトラブルを生むと言うけれど、
実際、なにか大きな問題がおこることはなくて良かった
髪の毛から水滴が落ちる
_きんとき_
Nakamu、お酒を飲んだみたいだったな…笑
俺が彼を家まで送っている途中
よく分からない感情になった
いつもの活気溢れる話し方の彼が
まるで泥酔しているような甘えた声になって
なんと言うのだろう。
今まで感じたことがない
漫画で見た事がある
小さい時、いとこのお兄様が両親の目を盗んで読ませてくれた
Nakamuは多分、眠気のせいで、成り行きで言った
特別でも、意識したわけでもない言葉
でも、言われた瞬間間違いなく俺の心臓が蠢いたことを感じた
これがその漫画によると恋の始まり、というものらしい
いや…そんなわけないか
今まで誰かを好きになったことなんて1度もないから
そもそも、誰かを好きになるということがどういうことか分からない
小中学生は共学だったから、バレンタインで女の子から毎年チョコレートを貰ったりしていたけれど
[好き]という感情に導かれることもなかった
毎年欠かさずチョコレートをつくってくれるのは嬉しいけど、お菓子作りは人並み程度の俺は、お返しができない
その事を伝えた上で頂いたものだから、申し訳なかった
Nakamuやスマイルといるとありのままの自分を出せるから
もしかしたら[安心]というものなのか
小さい頃は、友達ともあまり遊ばせてくれなかった
勉強一筋で、重圧に押しつぶされそうなくらい負担で苦しかった
…今はそんな難しいこと、考えたくない
_きんとき_
そろそろ出るか…
お風呂を出たあとは、髪を乾かして
そのままベッドに横たわる
…いい一日だった
_きんとき_
…?
カーテンから日光がチラチラと差し込む
…!7時…
寝坊したかと思った
いつもよりは遅い時間だけれど
今までよりゆっくり寝られたな
なんだか早くNakamuに会った方がいいって
何故か俺の心がそう言う
だから、昨日と同じ時間に行こう
会えなかったとしてもスマイルにお礼、言いたいし
朝ごはんは基本食べない
もう家を出よう
_きんとき_
涼しくなってきたな…
秋風が頬を伝って、なんだか寂しさを感じる
_???_
…あ
きんとき!
_きんとき_
…?
Nakamu…!
おはよ!
いつも通りのNakamu、
昨日のこと、気にしているのは俺だけなのかもしれない
_きんとき_
今日も早いね…?
早起きできるキャラじゃないでしょ笑
_Nakamu_
いやなんか…普通に起きちゃった笑
……ねぇ
ゆっくり歩いて話さない?
まだ時間あるし…
_きんとき_
いいね…!
やっぱ、気にしてるの、俺だけなんだ…
でも意識しないなんて無理だ…
ファーストキスならぬファーストお姫様抱っこの相手がまさかNakamuになるなんて…
_Nakamu_
きんとき?大丈夫…?
_きんとき_
あ…え?
ごめん、なんか話してた?
_Nakamu_
いや、何も喋ってなかったけど、、
ボーっとしてたから、寝てないのかな〜って
_きんとき_
むしろ
ぜんっぜん寝た笑
なんならいつもよりぐっすりねたよ笑
_Nakamu_
元気ならいいんだけど…
なんか、いつもと違くない?
_きんとき_
え、俺?
やばい、知ってたはずなのに
Nakamuは人の変化に敏感なんだ
どうしよう、昨日のことずっと考えてるってバレたら…
顔に出やすいタイプでは無いけれど、彼のことだから余計に気をつけようという気持ちが…
_Nakamu_
って、
もう8時…!
ちょっと走ろうか!遅れちゃう!
_きんとき_
…え
おわっ!
ち、ちょっとNakamu?
彼は勢いで俺の手を握った
_Nakamu_
だって急がなきゃ!
_きんとき_
ッ…
大したことない、昨日のことに比べれば
もう…考えちゃダメだ俺!
冷静になろう。
好きっていうことじゃなくて、ただたに手を繋いだり、この距離感が慣れないだけ。
これは言い訳とかじゃなくて、事実。
_Nakamu_
何とか間に合いそう!
よかった〜このまま走ろ!
…え?
ポツ…ポツ…
……
ザーーー…………
_Nalamu_
わ!雨!あめだぁー!!
ちょ、どうしよ!
あ、あそこ!あそこ屋根ある!
とりあえずあそこまで!急ご!
_きんとき_
うん…!
急展開すぎる…
頭がついていけない
_Nakamu_
はぁ、はぁ…
ここなら雨宿りできそうで良かった…
も〜ついてないなぁ雨なんて…
学校に連絡しなきゃ…
たしか、大雨で遅刻は大丈夫なんだよね…
_きんとき_
……
_Nakamu_
[大雨の為、遅れます…
先生ごめんなさい!]っと…
_きんとき_
あ、連絡してくれた?
ありがと〜助かった!
…?Nakamu?大丈夫?
_Nakamu_
…うん
大丈夫!しばらくここで雨宿り…しよっか!
_きんとき_
なんか、顔赤くない?
ほんとに大丈夫?
_Nakamu_
ほんとに大丈夫だから!
あ、それよりほら!みて!学校から連絡来た…
[今日は、大雨のため休校です。]…だって
やっぱり…
_きんとき_
マジか…
_Nakamu_
あの…タオル、貸すよ…!!!
_きんとき_
え?なんで?
びしょ濡れとか気にしないから大丈夫だよ
_Nakamu_
いやその…そういうことじゃなくて…
これにて終わりとなります😙
今回はかなり文字数が多くなりました、、のにもかかわらず…
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!😍😍😍
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。