第6話

雨宿り
76
2025/08/20 12:45 更新
_きんとき_
ただいま〜


一人暮らしだから、もちろん返事は無い

さっきまで騒がしかったから

いつもは当たり前の静寂が少し寂しく感じる。

さっきまで豪華な家具に囲まれていたから、尚更自分の部屋に虚無を感じる

カチ、カチ…と途切れることの無い時計の音

もう8時か…

Nakamuを家まで送ってたから、遅くなってしまった

幸い、理科の課題は終わっている

スマイルに教えてもらったから早く終わった

明日、お礼を言おう




_きんとき_
お風呂…入るか




全身を洗ったあと、ゆっくり湯船に浸かる。





_きんとき_
緊張した…



想像よりもNakamuの顔が近くて

彼の体温をそのまま感じて

慣れないことをしたからだ

お姫様抱っこなんて今思えば自分でも驚いてしまう

即興の思いつきで、深く考えず起こした行動は何かしらトラブルを生むと言うけれど、

実際、なにか大きな問題がおこることはなくて良かった

髪の毛から水滴が落ちる




_きんとき_
Nakamu、お酒を飲んだみたいだったな…笑



俺が彼を家まで送っている途中

よく分からない感情になった

いつもの活気溢れる話し方の彼が

まるで泥酔しているような甘えた声になって

なんと言うのだろう。

今まで感じたことがない


漫画で見た事がある

小さい時、いとこのお兄様が両親の目を盗んで読ませてくれた

Nakamuは多分、眠気のせいで、成り行きで言った

特別でも、意識したわけでもない言葉

でも、言われた瞬間間違いなく俺の心臓が蠢いたことを感じた

これがその漫画によると恋の始まり、というものらしい




いや…そんなわけないか

今まで誰かを好きになったことなんて1度もないから

そもそも、誰かを好きになるということがどういうことか分からない

小中学生は共学だったから、バレンタインで女の子から毎年チョコレートを貰ったりしていたけれど

[好き]という感情に導かれることもなかった

毎年欠かさずチョコレートをつくってくれるのは嬉しいけど、お菓子作りは人並み程度の俺は、お返しができない

その事を伝えた上で頂いたものだから、申し訳なかった




Nakamuやスマイルといるとありのままの自分を出せるから

もしかしたら[安心]というものなのか

小さい頃は、友達ともあまり遊ばせてくれなかった

勉強一筋で、重圧に押しつぶされそうなくらい負担で苦しかった


…今はそんな難しいこと、考えたくない




_きんとき_
そろそろ出るか…




お風呂を出たあとは、髪を乾かして

そのままベッドに横たわる



…いい一日だった











_きんとき_
…?

カーテンから日光がチラチラと差し込む

…!7時…

寝坊したかと思った

いつもよりは遅い時間だけれど

今までよりゆっくり寝られたな

なんだか早くNakamuに会った方がいいって

何故か俺の心がそう言う

だから、昨日と同じ時間に行こう

会えなかったとしてもスマイルにお礼、言いたいし


朝ごはんは基本食べない

もう家を出よう
















_きんとき_
涼しくなってきたな…

秋風が頬を伝って、なんだか寂しさを感じる






_???_
…あ

きんとき!






_きんとき_
…?

Nakamu…!

おはよ!


いつも通りのNakamu、
昨日のこと、気にしているのは俺だけなのかもしれない




_きんとき_
今日も早いね…?

早起きできるキャラじゃないでしょ笑





_Nakamu_
いやなんか…普通に起きちゃった笑







……ねぇ

ゆっくり歩いて話さない?

まだ時間あるし…






_きんとき_
いいね…!






やっぱ、気にしてるの、俺だけなんだ…

でも意識しないなんて無理だ…

ファーストキスならぬファーストお姫様抱っこの相手がまさかNakamuになるなんて…






_Nakamu_
きんとき?大丈夫…?






_きんとき_
あ…え?

ごめん、なんか話してた?





_Nakamu_
いや、何も喋ってなかったけど、、

ボーっとしてたから、寝てないのかな〜って





_きんとき_
むしろ
ぜんっぜん寝た笑

なんならいつもよりぐっすりねたよ笑





_Nakamu_
元気ならいいんだけど…
なんか、いつもと違くない?





_きんとき_
え、俺?




やばい、知ってたはずなのに
Nakamuは人の変化に敏感なんだ

どうしよう、昨日のことずっと考えてるってバレたら…

顔に出やすいタイプでは無いけれど、彼のことだから余計に気をつけようという気持ちが…





_Nakamu_
って、

もう8時…!

ちょっと走ろうか!遅れちゃう!





_きんとき_
…え

おわっ!

ち、ちょっとNakamu?


彼は勢いで俺の手を握った



_Nakamu_
だって急がなきゃ!





_きんとき_
ッ…


大したことない、昨日のことに比べれば

もう…考えちゃダメだ俺!

冷静になろう。

好きっていうことじゃなくて、ただたに手を繋いだり、この距離感が慣れないだけ。

これは言い訳とかじゃなくて、事実。




_Nakamu_
何とか間に合いそう!
よかった〜このまま走ろ!





…え?






ポツ…ポツ…


……








ザーーー…………





_Nalamu_
わ!雨!あめだぁー!!

ちょ、どうしよ!




あ、あそこ!あそこ屋根ある!

とりあえずあそこまで!急ご!




_きんとき_
うん…!



急展開すぎる…

頭がついていけない






_Nakamu_
はぁ、はぁ…

ここなら雨宿りできそうで良かった…

も〜ついてないなぁ雨なんて…

学校に連絡しなきゃ…

たしか、大雨で遅刻は大丈夫なんだよね…




_きんとき_
……






_Nakamu_
[大雨の為、遅れます…
先生ごめんなさい!]っと…





_きんとき_
あ、連絡してくれた?

ありがと〜助かった!




…?Nakamu?大丈夫?






_Nakamu_
…うん

大丈夫!しばらくここで雨宿り…しよっか!





_きんとき_
なんか、顔赤くない?

ほんとに大丈夫?







_Nakamu_
ほんとに大丈夫だから!

あ、それよりほら!みて!学校から連絡来た…

[今日は、大雨のため休校です。]…だって

やっぱり…





_きんとき_
マジか…




_Nakamu_
あの…タオル、貸すよ…!!!






_きんとき_
え?なんで?
びしょ濡れとか気にしないから大丈夫だよ





_Nakamu_
いやその…そういうことじゃなくて…







これにて終わりとなります😙

今回はかなり文字数が多くなりました、、のにもかかわらず…

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!😍😍😍

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