【あなた side】
昨日のことで教室に入るのが億劫になっていたのだが、彩花が上手くフォローしてくれたおかげで赤葦くんも普通に接してくれた。
赤葦「天野さん。昨日は大丈夫でしたか?七瀬から連絡は来て事情は分かったんですけど...心配で...。」
あなた「へ!?あ、うん!!そんなに心配しないで!!家の用事があったの思い出してさ...笑」
赤葦「それなら良かったです...!!」
やっぱり赤葦くんって優しいなって改めて感じる。なんか赤葦くんの微笑みを見てるだけで、私も大丈夫って思えてくるから。
赤葦「それと...今日のお昼一緒に食べませんか?七瀬も一緒ですので...!!」
あなた「うん!全然いいよ!一緒に食べよっか!」
そう約束して、私は授業の準備を始めたのだった。
***
お昼休みになり、私は赤葦くんと彩花に連れられて中庭に来ていた。
赤葦「ここで食べましょうか。」
彩花「久しぶりの中庭だわ。あなたこっち座って~!」
赤葦「ちょっ、天野さん誘ったの俺なんだけど。」
彩花「あなたは私の友だちだから!赤葦なんかに渡してたまるか!」
なんて2人の言い合いが始まってしまったけど、それも友だちらしくて微笑ましい。
あなた「そういえば...なんで中庭なの?教室とかの方が食べやすい気もするけど...?」
私がそう言うと、2人の言い合いはピタリと止まり、何故か慌て始めた。
彩花「いやいや!!その、中庭だったら景色も綺麗だし!?」
赤葦「そ、そうですよ天野さん...!!教室は人も多いですし...!!」
2人の挙動がおかしいため、何を隠しているのか問いかけようとしたまさにその瞬間だった。
?「あぁぁぁぁぁぁ!!昨日の子だぁぁぁぁぁぁ!!」
と大きな声が聞こえて驚く。しかも、この声は確か昨日の...。
そう思っていたのと同時に後ろからすごい勢いで抱きつかれた。
あなた「へっ!?」
?「なぁ!!昨日急いで帰った子だろ!?赤葦と仲いいんだろ!?」
抱きつかれながらもめちゃくちゃ質問攻めを受けて何から話せばいいのやら。
そんな時に助け舟を出してくれたのは赤葦くんだった。
赤葦「ちょっと、天野さんが困ってますってば木兎さん!!」
赤葦くんの声で「木兎さん」と呼ばれた人は私を解放してくれた。
(凄い力で抱きしめられた...。)
なんて思いながら振り返ると、そこには髪をオールバックにセットしていて、赤葦くんよりも背が高い男の子が立っていたのだ。
木兎「なぁなぁ!なんて名前?俺は木兎 光太朗!」
あなた「天野 あなたです...!!」
木兎「あなたちゃんかぁぁぁ!!赤葦が昨日からあなたちゃんの話しかしなくてどんな子なのか気になって!!まじで夜しか眠れなかったんだよ!!」
あなた「え、赤葦くんがですか...?」
赤葦「ぼ、木兎さん!それ以上言ったら今日の自主練手伝いませんからね...。」
木兎「なぁぁにぃぃ!?それは困る...。」
どうやら、木兎さんという人は元気でおおらかな人らしい。
普通に話していたら元気が貰えるような、そんな気がする。
木兎「あなたちゃんは部活何に入るんだ!?」
突然の"その質問"に私は再び恐怖心が戻ってきた。
あなた「あ、えと、まだ考えてなくて...笑」
木兎「そうなのか!?じゃあさ~...」
手をあごに添えて少し考えるフリをしている。私も彩花も赤葦くんも黙って見つめていた。
木兎「バレー部のマネやらないか!?」
冷汗が額から流れるのが分かる。脳が警告を出していた。
早く断らなきゃって...。
私は覚悟を決めて断ろうと決心し、口を開きかけた時だった。
赤葦「木兎さん。どの部活に入るかを決めるのは天野さんなので、押し付けは良くないです。」
木兎「あ、そうだよなぁ...。ごめんねあなたちゃん!」
赤葦くんがそう言ってくれたおかげで木兎さんに返答せずに済むことが出来たのだ。
あなた「か、考えてみますね...笑」
それだけ答え、私たちはお弁当を食べ始めたのだった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。