第3話

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2024/01/08 21:34
【7月11日】













あれから、あのお兄さんと何回か会った。 








いつものあの公園で。







あなた
(なんか、自分にお兄さんができたみたい…)

 



Classmate
あなたの名字さん、そろそろ教室移動しなきゃじゃない?
あのお兄さんのことを考えていた時、学級委員長のクラスメートが話しかけてきた。
あなた
あ、そうだね!ありがと〜


時計を見ると、もう授業時間の2分前。

荷物をまとめて、移動の準備をしながら何気なく窓の外を見る。











私の視線の先には、






あのお兄さんがいた。






あなた
……!



多分、マンションの3階か4階だろう。







お兄さんが、洗濯物を取り込んでいるのが見えた。
あなた
(手振ったら気づくかな…)

と思い、本当は大きくブンブン振りたいところだけど恥ずかしいので小さく振る。
あなた
(!)




お兄さんが、こっちをちらっと見た。
あなた
(気づいてくれた…!)


お兄さんも、小さく手を振り返す。


あなた
(やばい、急いでるんだった)





ハッと我に返り、速歩きで廊下を歩いた。







急がないと授業に遅れる…









遅れたら最悪だよマジで。 




みんなが静かに先生の話を聞いてる中、ドア開けて入って行かないと行けないんだもん。




その時の視線が恥ずかしい…












Classmate
ねぇ、さっき手振ってたの誰?



やばい、手振ってたのばれてた…

てか委員長まだいたのね
Classmate
お兄ちゃんとか?
あなた
あ、うん。そんな感じ…
全然嘘だけどそう見えてたんなら嬉しい


Classmate
へー、あなたの名字さんお兄ちゃん居たんだ!
Classmate
名前は?
あなた
(…)




  


うわ、今気づいた。












そういえば私、あの人の名前知らないじゃん


あなた
名前、知らないんだ
あなた
お兄ちゃんじゃなくて、近所の人…。


流石にもう誤魔化せないよね


Classmate
………?




委員長が不思議そうに口を開こうとした時、ちょうどチャイムが鳴った。
 
  

あなた
やばい!委員長、遅刻しちゃう!
あなた
ダッシュ!!


Classmate
え、でも結構距離あるけど…
Classmate
普通に歩いていこうよ
あなた
え、でも授業…


委員長がニヤッと笑う。
Classmate
わたし、先生に頼まれて物取りに行ってただけだから。


うわ、ずる!!



先生に頼まれたから遅刻判定じゃないってことか…



委員長にしては遅いなと思ったんだよ


あなた
委員長って、そんなことするんだ。
Classmate
大丈夫wあなたの名字さんは私の付き添いってことにしてあげるよ。
あなた
委員長、ありがとうございます




まじで助かった。


教室に物取りに行くだけで付き添いが必要なのかは怪しいけど…







 


てか委員長優しい。








……










もしかして私がまともに話せるの委員長だけだから気を使って…





そんなこと考えると悲しくなるからやめよう。





  




……次会ったとき、お兄さんの名前聞いてみようかな
 






【7月11日】




最近気づいたことは、あのお兄さんが全く笑わないってこと。




まだあんまり話したことないだけかもしれないけど、いつも無表情で話している。



いつかあのお兄さんを笑わせて見せたい、


そう思った














この世界の委員長と月ノ美兎は別です

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