スタッフに案内されて
小さな控室の前に立ったとき 、
私の頭の中はもう完全にパニック状態 。
「 いやいや待って推しに会う予定は
このあとサイン会の数秒だけだったはずでは ? 」
という疑問が何度もぐるぐる回っていた。
ドアが開く
その瞬間 、視界に入ったのは見慣れた顔で
でもスマホの画面越しでもステージでもなく 、
ほんの数メートル先に本当に存在している
IVEの末っ子だった 。
ヒョンソは私を見るなり 、
ぱっと顔を明るくした 。
帽子を取って 、少しだけ前に歩いてくる 。
そして まじまじと 私の顔を見たあとで 、
まるで思ったことをそのまま
口に出したみたいに言った 。
私の思考が一瞬止まった 。
ヒョンソはスタッフからハンカチを受け取ると 、
嬉しそうにそれを両手で広げて見ながら
小さく笑った 。
〇〇はやっと声を出した 。
そう言ってヒョンソは少し首を傾げた
そしてまた 、じっと私の顔を見る 。
私は混乱した 。
ヒョンソは気にした様子もなく 、
むしろ少し楽しそうに笑っている 。
私の頭の中でやっとメンバーの顔が浮かぶ 。
ヒョンソはそんな私の反応を見て 、
ちょっと嬉しそうに目を細めた 。
その質問に 、私の体が一瞬固まった 。
目の前に本人がいる
しかも本人が聞いている
私は少しだけ視線を逸らしながら 、小さく答えた 。
その瞬間 、ヒョンソの目がぱっと輝いた 。
そして一歩近づいた 。
さっきより明らかに距離が近い
ヒョンソはしばらく私の顔を見つめて 、
それから嬉しそうに笑った 。
そして 、ふと思い出したように言った 。
私の心臓が跳ねる 。
ヒョンソはすぐに答えた 。
少し身を乗り出す
距離が 、さらに近くなる 。
私の思考が完全に停止した 。
ヒョンソはそんな私を見ながら 、くすっと笑う 。
そのときスタッフが軽く声をかけた 。
「 そろそろサイン会の準備に入ります 」
ヒョンソは素直に頷いたあと 、
もう一度私の方を見る 。
少しだけ声を小さくする 。
そして ほんの少しだけ身をかがめて 、
私の顔を覗き込んだ 。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。