ギッと控えめな音がして図書室の扉が開く。扉を開けた小柄な少女は胸に大事そうに本を抱えながら入室する。
少女の存在に気づいた司書は優しげな笑顔を浮かべ、挨拶をする。それに対し、先程『あなたの下の名前(カタカナ)』と呼ばれた少女は控えめに
と返事し、ぺこりと軽く会釈した。それから当然のように誰も使っていなさそうな梯子を手馴れた様子で登りその先にある小さな空間に本を置き、梯子を降りてお目当ての本棚まで迷うことなく進んでいく。
ある本棚の前で立ち止まると、そう呟いた。
目当ての本を取るべく精一杯背伸びし、手を伸ばすが小柄なあなたの下の名前(カタカナ)では本棚の上段に掠りすらしない。
もう少しであなたの下の名前(カタカナ)の手に目当ての本が触れそうというところで力が抜け、バランスを崩して尻もちをつ………く寸前に
ケラケラと愉快そうな声で突然現れたダリ先生は尻もちをつきそうだったあなたの下の名前(カタカナ)の体を後ろから支えてくれていた。
あなたの下の名前(カタカナ)はダリ先生の腕の中から彼の顔を見上げるようにし小さな声で自分を助けてくれた悪魔の名前を呼ぶ。それに対してダリ先生は先程までの陽気さとは一変して真剣な顔つきで
と短く一言発した。
何が言いたいのかいまいちピンときていないあなたの下の名前(カタカナ)は戸惑っていた。そんなあなたの下の名前(カタカナ)に対してああもう!なんで分からないんだ!とでも言うようにダリ先生は
突然叫んだ(ちゃんと小声で)ダリ先生に驚いたあまりあなたの下の名前(カタカナ)は肩をビクリと震わせた。そんなあなたの下の名前(カタカナ)の肩に手を掛けたダリ先生は少し屈んで顔を近づけ
と告げた。
それでもいまいち理解出来ていないあなたの下の名前(カタカナ)に今度は両頬に手を添えて視線を絡ませ
と、少し項垂れたようにシュンとした表情をする。そんなダリ先生に絆されたのか、あなたの下の名前(カタカナ)はフルフルと首を振ると恐る恐るといったように
と初めて名前で呼んだ。すると先程まで項垂れていたはずの悪魔はパァと表情を明るくすると、正解だとでも言うように頭をポンポンと撫でた。
それは僕だけの特権だからね、と大人の笑みを浮かべたダリ先生だったが
(ま、この子のことだから分かってないか)
と、呆れながら
と言い残し、図書室を後にした。その直前にあなたの下の名前(カタカナ)が
名前で呼んでくれないの?と呟いたのには気づかずに。
作者の語り⌚
なんか開眼ダリ先生って大人の色気がやばいって単行本26巻の表紙見て思った。自分の顔の良さ分かってるダリ先生も分かってない天然タラシのダリ先生も良いなって思う自分がいるんですよね。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!