第2話

今日は何を読もうかな
1,539
2022/10/30 22:42 更新
ギッと控えめな音がして図書室の扉が開く。扉を開けた小柄な少女は胸に大事そうに本を抱えながら入室する。
司書さん
おはよう、あなたの下の名前(カタカナ)ちゃん。
少女の存在に気づいた司書は優しげな笑顔を浮かべ、挨拶をする。それに対し、先程『あなたの下の名前(カタカナ)』と呼ばれた少女は控えめに
(なまえ)
あなた
おはようございます
と返事し、ぺこりと軽く会釈した。それから当然のように誰も使っていなさそうな梯子を手馴れた様子で登りその先にある小さな空間に本を置き、梯子を降りてお目当ての本棚まで迷うことなく進んでいく。
(なまえ)
あなた
ん、あった
ある本棚の前で立ち止まると、そう呟いた。
目当ての本を取るべく精一杯背伸びし、手を伸ばすが小柄なあなたの下の名前(カタカナ)では本棚の上段に掠りすらしない。
(なまえ)
あなた
んぅっ、あ、と少、し………取れッ………
もう少しであなたの下の名前(カタカナ)の手に目当ての本が触れそうというところで力が抜け、バランスを崩して尻もちをつ………く寸前に
ダンダリオン・ダリ
全く君は危なっかしいねぇ
ケラケラと愉快そうな声で突然現れたダリ先生は尻もちをつきそうだったあなたの下の名前(カタカナ)の体を後ろから支えてくれていた。
(なまえ)
あなた
だ、ダンダリオン先生あの、あり………
あなたの下の名前(カタカナ)はダリ先生の腕の中から彼の顔を見上げるようにし小さな声で自分を助けてくれた悪魔の名前を呼ぶ。それに対してダリ先生は先程までの陽気さとは一変して真剣な顔つきで
ダンダリオン・ダリ
ダリ
と短く一言発した。
(なまえ)
あなた
へ?あ、のダンダリオンせんせ………
ダンダリオン・ダリ
ダンダリオン、は長いでしょ?
何が言いたいのかいまいちピンときていないあなたの下の名前(カタカナ)は戸惑っていた。そんなあなたの下の名前(カタカナ)に対してああもう!なんで分からないんだ!とでも言うようにダリ先生は
ダンダリオン・ダリ
あーもー焦れったいな!
(なまえ)
あなた
ビクッ
突然叫んだ(ちゃんと小声で)ダリ先生に驚いたあまりあなたの下の名前(カタカナ)は肩をビクリと震わせた。そんなあなたの下の名前(カタカナ)の肩に手を掛けたダリ先生は少し屈んで顔を近づけ
ダンダリオン・ダリ
ダリ先生で良いんだよ?
と告げた。
(なまえ)
あなた
??????
それでもいまいち理解出来ていないあなたの下の名前(カタカナ)に今度は両頬に手を添えて視線を絡ませ
ダンダリオン・ダリ
それとも君は僕のこと名前で呼ぶのは嫌、なの?
と、少し項垂れたようにシュンとした表情をする。そんなダリ先生に絆されたのか、あなたの下の名前(カタカナ)はフルフルと首を振ると恐る恐るといったように
(なまえ)
あなた
だ、ダリ先生?
と初めて名前で呼んだ。すると先程まで項垂れていたはずの悪魔はパァと表情を明るくすると、正解だとでも言うように頭をポンポンと撫でた。
ダンダリオン・ダリ
よく出来ました!でも………
(なまえ)
あなた
ダンダリオン・ダリ
他の先生にはしないでね?
それは僕だけの特権だからね、と大人の笑みを浮かべたダリ先生だったが
(ま、この子のことだから分かってないか)
と、呆れながら
ダンダリオン・ダリ
それじゃ、僕は授業だから
ダンダリオン・ダリ
君も、“いつか”で良いから授業来てね
と言い残し、図書室を後にした。その直前にあなたの下の名前(カタカナ)が
(なまえ)
あなた
なんでダリ先生は私の事………
名前で呼んでくれないの?と呟いたのには気づかずに。
作者の語り⌚
なんか開眼ダリ先生って大人の色気がやばいって単行本26巻の表紙見て思った。自分の顔の良さ分かってるダリ先生も分かってない天然タラシのダリ先生も良いなって思う自分がいるんですよね。

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